ifの話 山本彰吾 ページ3
山彰side (2-21参照)
山彰｢おい、いつまでこのままおるつもりや｣
｢.....｣
山彰｢無視かこら｣
泣き続けたあすかは落ち着いたのか、俺の肩に顔を埋めたまま離そうとしない
もうすぐ日が暮れて辺り一面真っ暗になってしまう
そうなれば幾ら歩き慣れた道でも、こんな山の中歩くのは容易じゃない
山彰｢あすか、帰るぞ
いい加減離れろ｣
｢やだ.....｣
山彰｢はぁ.....何でや？｣
｢だって、泣き顔見たら彰吾君笑うもん｣
そんなことか、と安堵の溜息を漏らす
山彰｢わかった、笑わんからはよ立て
日が暮れて熊にでも出くわしたらどうするつもりじゃ｣
｢約束だからね？｣
顔を上げたあすかの顔は
山彰｢っ、｣
まだ目に涙が溜まっていて頬も若干紅潮している
あー、マジか....
一生気づきたくなかった感情が芽生えてしまう
自覚してしまえば抑えることなんて出来るはずもなく
山彰｢好きだ｣
思いが溢れて言葉に出てしまうのも仕方がない
｢え....｣
山彰｢俺はお前の事が好きだ
付き合ってくれとか、ずっと傍にいてくれとは言わん
けど、お前が1人で泣いてる所は見たくない
泣くなら、俺の隣で泣いて欲しいと思う｣
こいつの返事は決まっている
俺と付き合うことで出てくるのはデメリットばかりだ
まぁ、そもそもAが俺の事どう思ってるかわからんけど....
｢っ、あのね彰吾君｣
山彰｢ん？｣
｢わ、私も多分....好き、かも｣
山彰｢....多分ってなんじゃ笑｣
Aらしい返事に思わず笑ってしまう
｢だ、だってわかんないんだもん
恋愛ってドキドキするって言うけど、彰吾君といる時は胸がポカポカして落ち着くから違うんじゃないかって思ってた
でも楽しい事とか、悲しい事があったら真っ先に彰吾君の顔が浮かぶの
だから｣
山彰｢わかったからそれ以上言うな｣
聞いてるこっちが恥ずかしくなる
つまり俺の事めちゃくちゃ好きってことじゃねぇか
山彰｢俺、もっと頑張って先輩達みたいに彼女が出来ても応援してもらえるようになるから
それまで、待っててくれるか？｣
付き合えたとしてもそれは束の間の幸せに過ぎない
俺だけじゃなくAにも怒りの矛先が向けられるし、メンバーやHIROさんにも迷惑をかけてしまう
それなら今は上を目指して我武者羅に突き進むだけだ
｢うん、待つよ
何年、何十年でも｣
山彰｢サンキュ｣
きっと俺はずっと前からこいつに惚れていたんだ
泣き虫で強がりな彼女を守ると握った手に強く誓った
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作者名：あすか | 作成日時：2022年11月28日 22時
