俺達のマネージャー (ページ9)

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過去浦川翔平ページ9

翔平side

浦｢いや〜まさかの再会ですなぁ｣

海｢え？お前も村田さんと知り合いなん？｣

浦｢いやいや、知り合いってほどじゃないけど
俺が一方的に知ってるだけだし｣

幼児の頃から親にクラブに連れられ、物心がつく頃には音楽が日常の1部となっていた
両親のおかげか運動神経にも恵まれて数々の大会で表彰されてきた
そんな俺がAさんに出会ったのは小学2年生の頃
釣りが好きだった父親に連れられて石川に家族で旅行に来ていた
昔から好奇心旺盛な性格な為、新しい場所に来ると冒険欲が湧いてしまう
あまり離れないという約束で近くを散歩しているとどこかで音楽が流れていた
俺もよく聞くHIPHOPの曲
近くでダンスのイベントでもあるのかと音が鳴る方へ足を進めると1人の女の子が公園で踊っていた

5分か、10分か、それとも1時間か
どれだけ時間が経ったか分からないほど彼女の動きから目が離せないでいた
体全身から伝わる音楽への愛
見てるこっちまで踊りたくなるエネルギッシュな動き
自由自在に動く手足
親以外の誰かを初めて尊敬した瞬間だった

｢あー、Aがまたこんな所で一人でおる｣

｢友達いねぇのかよ
寂しいやつ笑｣

2人の男の子が声をかけていた
知り合いだろうが、友達では無いことは声と言い方でなんとなく察した

｢あんたらに関係ないやろ？
てか、私に構う暇があったら練習でもすれば？｣

さっきまでとは様子が一変し、凍るような鋭い目付きで男達を睨んだ

｢な、なんだよ！｣

｢生意気ねんて！ちょっと周りに褒められてるからっていい気になりやがって｣

自分が言われたわけじゃないのに胸がザワザワした
周りと違う
少し秀でた能力を持っている
それだけで周りから目をつけられるのはどこであろうと一緒のようだ
少しだけ苦しくなった胸を抑えて下を向く

｢いい気になって何が悪いん？｣

すると思いがけない返答が聞こえて、思わず顔を上げた

｢それだけ私は練習をしてきた
自信を持てるほどの努力をした
努力は絶対に裏切らない
だから私はいつでも自分に自信が持てるように全力でダンスに打ち込んでる
あんたらはそれだけやってきたって言える自信があるんか？｣

胸を打たれた感覚だった
どう見ても俺と同じ小学生のはずなのに凛とした声で堂々と話す姿は大人びて見えた

｢ちっ、おい行こうぜ｣

｢カッコつけんなブース！｣

努力は絶対に裏切らない
あの時Aさんが言った一言が今の俺を作ってくれたんだ