・ ページ13
・
・
「ただいま。」
玄関に行儀よく揃えられたスニーカーの隣に
ヒールの靴を並べて
振り向いたらリビングの奥から
亮平が顔を出していた。
「おかえり、Aさん。」
顔色は悪くない。表情も普段通り。
それだけで、少し安心する。
リビングの入口で亮平が
両手を広げて待ち構えていて
「はい、どうぞ。」
「・・・・？」
「ぎゅーってして。たまにはAさんから。」
その高い身長で、私を見下ろして
首をこてんと横に曲げている。
これが、あざといっていうヤツか。
と、冷静に受け止めている自分が
少し可笑しくなったけど、その違和感は拭えない。
私の前では、男らしくて、優しくて
頼りになる亮平が
こんなことをするのは珍しい。
”弱い亮平を見せてもいい”
確かにこの前、そんなことを言ったけど
それともまた違う一面を見せられて
その真意は何なのかと勘繰ってしまう。
「嫌なの？」
亮平の視線が、徐々に不安になっていくのが分かって
その場に通勤バッグを置いて
広げられた両手を、そっと握った。
「え・・・手ぇつないでなんて一言も言ってないんだけど。」
「そんなことして、亮平の不安は解消されるの？」
亮平の瞳が揺らいで、視線が逸れていく
「ねぇ、亮平？」
その視線を引き戻すように
つないだ手をやんわりと解いて
細く見えるけど頼もしい上半身に抱きついた。
ギュッと腕に力を込めて
亮平の顔を見上げたら
その顔は両手で優しく包まれて、触れるだけのキスが
振ってきた。
「俺ばっかり、好きみたい。」
亮平は私を胸元に包み込んで
そんなことをつぶやいた。
「それは・・・どういったところから、そう思うの？」
亮平の胸の中で問いかけると
しばらく沈黙が続く。
きっと亮平が
脳みそをフル活用して言葉を選んでると思ったら
なんだか笑えてしまった。
「俺も、嫉妬されたい。」
「へ？」
思いもよらない亮平の言葉に
思わず顔を上げると
ものすごく気まずそうな顔をした亮平が
無理やり私の頭を胸元にしまい込んだ。
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 403人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥(プロフ) - アキネコ。さん» 待ってて下さるなんて嬉しいです( *´艸`)脳内ではスノくんたちが我先にと出番を待っている状態なので...文字起こし頑張ります😊 (9月17日 20時) (
レス) id: ebcf222aae (このIDを非表示/違反報告)
アキネコ。(プロフ) - えぇ!?!?もう�圭�わりですか！？早かったです！！まだまだあるんです…！？�犬眤圓辰討泙后�！！頑張ってください！！ (9月16日 21時) (レス) @page48 id: 1ef8943118 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - レモンさん» 嫉妬魔の岩本君も大好きな設定なのですが、私が書くとちょっとアブナイ方向に走ってしまいそうでｗｗｗ胸キュンストーリーにとどめておけるように、岩本君にはよ〜く言って聞かせたいと思います(笑)あ、そうやって彼女ちゃんに毎回叱られてるのかな( *´艸｀)なんて♡ (9月6日 11時) (レス) id: 1034983af3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - レモンさん» 恋愛偏差値の低い←阿部くんと大人の彼女、私のお気に入りです( *´艸｀)阿部くんの理屈っぽくて要領の悪いところを、ちゃんと愛してる彼女が逆に愛おしくなってしまって、次々とお話が浮かんでしまうカップルです(*^-^*) (9月6日 11時) (レス) id: 1034983af3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - レモンさん» わぁぁぁぁ！ありがとうございます！（感激！）じっくり読んで下さったことがわかる、丁寧な感想をいただいて...ホントに嬉しいです。あれ？私、解説書いたっけ？っていうぐらい、阿部くんと彼女の心情を読み取って下さって、感激しております( ;∀;) (9月6日 11時) (レス) id: 1034983af3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遥
| 作成日時：2023年8月21日 12時
