◆◇◆ D S H 5 ◆◇◆ 【S】

. ページ20

sideA



.



.






眠ってる翔にキスしたら、
それを返してくれたのが嬉しくて。

嬉しくて、嬉しくて。
翔の胸の中に、すっぽりと入り込んで。




「.....今日は、寝ねぇのかよ？」


って、頭の上でボソッと言った翔の声が響いて。


「いつも先に寝ちゃうから。
たまには翔の寝顔、見たいかなって。」


翔の温かさに、トロトロと心地よい眠気が襲ってきて。無意識に、目を瞑る。



「.....お前....起こしといてやっぱり寝るのかよ。」


そう言った翔が、私の髪の毛を
クシャっと撫でる感覚も気持ちよくて


もう完全に、瞼を閉じて翔に身を預けてた。



「.....俺.....。」


私の髪を撫でながら、翔がポツリと呟いて。


「小学校の入学式の時、
お前が制服着てランドセル背負ってたの見て
めちゃくちゃ可愛いって思った。」


「.....え？」


突然そんな事を言いだすから
思わず目を開けて翔を見上げると
髪を撫でてたその手で
グイッと頭を引き戻される。




「その前からお前は特別って思ってたけど。
お前を“女”として意識したの、たぶんそこ。
そっから俺はもう、お前しか見てない。」



翔は、漫画の中でしかありえないような
信じられない事を言って
私を抱きしめる力を強くした。



「.....ふ...ふふふ......」



翔が言ってる事が
もし、本当だとしたら。

すごく嬉しくて。

でも、半分信じられない私は
なぜか笑うしかなくて。

あったかい翔の腕の中で
小さく笑ったら。




「.....可笑しいだろ。自分でもそう思うけど。
でもマジだから。」


私の髪の毛をくしゃっとして
そこにキスされた感覚が残って。


必死に笑いをこらえながらも
胸の奥がキュンとなる。


こんなに素直に
自分の気持ちをさらけ出してくれる翔が
可愛くて、愛おしい。


私の気持ちを繋ぎ止めるために
必死になってくれるのが
すごく嬉しい。


でもやっぱり、
いつもみたいな翔も恋しくなって
翔の顔を見上げて。



「.....いつもみたいに、
“笑うな、バーカ。”って言ってよ(笑)」


そんなこと言ったら。

困ったように笑った翔が



「.....甘やかすな、バーカ。」




そう言って、優しいキスをくれた。





.





.

前に進む、2人。→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す