ハルランマンノ ○A○RA○SHI○ (ページ9)

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イタイ、カンチガイ。【K.N】ページ9

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「......転勤？......何処に？」

「埼玉。」

「......なんで？」

「......それ私に聞かれても(笑)

辞令が出たんだもん。」

「......行くの？」

「......(笑)

私、カズみたいに仕事選べる立場じゃないからね。」

Aの勤務先は、

新宿にあるでっかいビルで。

いわゆる公務員ってやつなんだけど

他県への出向命令が出たらしい。

俺のマンションに来るなり

そんな報告をされて

ちょっとした不安が胸を掠める。

「......なんで都職員が都外で働かなきゃなんねんだよ。」

「そういう職種もあるの。

都民のために頑張ってまーす！」

そう言ったAは、

リビングのソファーに立て肘ついていた俺の鼻を

つん、と突ついた。

「......洗濯物溜まってる？

今夜のうちに片付けとこ。」

突然の転勤が決まったっていうのに

Aは気にする様子も見せず

いつもと変わらない姿だった。

「......A。」

「んー？」

「ベッド行こ。」

「......どうしたの(笑)」

洗濯物を片付けに行こうとしたAの手を取って

寝室へ向かおうとすると

Aが立ち止まる。

「......カズ。」

「......ん？」

「......何も心配いらないよ？」

手を繋いだAが、俺の顔を覗き込んだ。

「別に心配なんかしてないよ。」

そう言ってAに向かって

お得意の営業スマイルを作ると

「......わっるい顔してる(笑)」

と言ったAが

俺のほっぺたをむにゅっとつねった。

「......いってーな。

国民的アイドルの顔になんてことすんの(笑)」

「だったら余計な心配なんかしてないで

どーんと構えてればいいでしょ？」

Aは俺の手をスルリと解いて、洗濯機のスイッチを入れた。

乾燥させて入れっぱなしだった洗濯物を抱えて

リビングに戻ろうとするAが

「......私には、

カズしかいないよ。」

そう呟いて、目の前を通り過ぎた。

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