ハルランマンノ ○A○RA○SHI○ (ページ34)

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こんな風に距離が縮まってから

サトシは私の身辺整理を始めた。

確かに私は不倫してたし

不特定の人と一夜限りの付き合いもあった。

だから、サトシは私の事を

まだ信用できないんだろうと思う。

だけどサトシは

「......信じてないのは、

Aさんの方じゃん(笑)」

って言って、

人から物をもらう時や

食事に誘われた時は

「気をつけてね」

って、優しく一言付け加える。

断れずにいただいてきたものには、

怒ったりはしないけど

「あんまり貰っちゃダメだよ。」

必ず一言だけ、付け加える。

驚いたのは、先週の出来事。

たまたまサトシが、私のマンションに来た時だった。

「......あ、明日のデータ資料忘れてきちゃった。

ちょっとだけ行ってきてもいい？」

「Aさん一人で行くの？

もう夜中なのに.....危ないよ。」

「大丈夫よ。車で行くから。」

「......Aさん、車持ってんだ。

じゃあオイラも乗っけてってよ。」

「えぇ？」

「オイラ車ん中で待ってればいいでしょ？

よし。決まりー‼︎」

サトシは勢いよく立ち上がって、スウェットの上からパーカーを羽織った。

ガレージへ降りて、地下から車を出すと

「えぇ？

Aさん、こんなの乗ってんの!？

すごくない？」

目を丸くしたサトシに、

言葉が見つからなかった私の心は

簡単に読まれたのだと思う。

「......誰かに....買ってもらった？」

助手席に滑り込んだサトシが、ポツリと呟いた。

言い方は悪いけど。

仕事のために、有る程度のコネクションは必要で。

弁護士としては、どうしても仲良くなっておきたい企業っていうのがあって。

加えて私は「女の特権」ってヤツが使えるから、そのおかげで仕事が楽になる事が多い。

要するに、ビジネスパートナーからの貢ぎ物ってわけ。

「......ごめん。」

「んはは(笑)

なんでAさんが謝んの？

早く。出発しよ。」

サトシの声に促されて、エンジンをかけた。

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