10 ページ12
円堂Side
「……はぁ」
今日何度目かのため息をつく。
「今から試合だろう。監督らしく、シャキッとしろ」
隣から活を入れてくる鬼道の声も、毎月一回この日だけは二割減だ。
それもそのはず。
今日という日はAが消えた日なのだから。ノアと名乗る不思議な少年に連れられて俺たちの手の届かないところに行ってしまった、Aの。
だから今日は朝から俺と鬼道、そして音無の三人でお日さま園に行ってきた。これも毎月恒例のことで、部員にも理由は言っていないものの俺たちが毎月この日は午前中居なくなることは知られている。
Aにもう一度会いたい。
そして、伝えたい。
エイリア学園は崩壊し、ヒロト達とは和解したこと。
今度は未来から相手がやってきたこと。
Aの知っている何人かが、プロの選手になったこと。
そいつ等は遠征に行くたびにAに関する情報を暇さえあれば探していること。
そして何より、十年たった今でも俺が、俺たちが居るのだと。
Aを包み込む準備は出来ている。
あとは、お前が来てくれるだけなのに。
今どこにいる？A。
やっぱりノアと一緒にいるのか？
今でも俺たちをあざ笑っているのか？
クエスチョンだけが頭を埋め尽くすのを、松風の声がすんでのところで止めてくれた。
「円堂監督！月山国光の監督のところに行かなくてもいいんですか？」
「え……あ、ああ。そうだな。行ってくる。ありがとう」
とっさに作った笑顔は、歪ではなかっただろうか？
そんな不安を胸の片隅に、向こうの監督と握手を交わした。
「本日は遠方からはるばる、ご苦労であった。準備運動は念入りにされると良い」
「ああ。こちらこそよろしくお願いします」
手を離して暫くすると視線に気がつき、そちらを眺めてみた。
そこに座っていたのはひとりのラテン系の少女。
目が合えば気づかぬうちに、その名を口走っていた。
「A……」
案の定訝しげにこちらを見つめる少女に、今度は謝罪の言葉が口を次いででた。
「あ、すまない。知り合いでAって人がいるんだ」
“そうですか”と呟いた少女は俺から目を離して今度はフィールドを眺め始めた。
その脇を通りながら、自分の発言について考えていた。
何故Aと言ったのだろうか。
明らかに24歳ではない。
容姿もまるで違うし、それに何より＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
《両目》があったのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽんず。(プロフ) - 美優莉さん» 少しでもお役に立てれば幸いです。これからも頑張ります！ (2015年11月4日 20時) (
レス) id: 78ac36b467 (このIDを非表示/違反報告)
美優莉 - 教えてくれてありがとうございます。これからも頑張ってください!! (2015年11月4日 19時) (レス) id: 2714492d95 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず。(プロフ) - 東堂 悠莉さん» ど、どうされたんですか！？ (2015年10月30日 21時) (レス) id: 78ac36b467 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず。(プロフ) - 美優莉さん» コメントありがとうございます！そして、すごいグッドタイミングな質問です(笑)もうすぐ彼らについて書いていく予定なので、是非ともそちらで答えを確かめていただければと思います。もうしばらく、お待ち下さい！ (2015年10月30日 21時) (レス) id: 78ac36b467 (このIDを非表示/違反報告)
東堂 悠莉 - ぽんず。さん» や、やっと見つけた……ﾊﾞﾀｯ (2015年10月30日 19時) (レス) id: 8b0cd85cc9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽんず。 | 作者ホームページ：http://ww.inago.@
作成日時：2015年9月4日 21時
