またきっと明日がくる.39 ページ39
「………ぁ」
意識の浮上に伴って、瞼が自然とあがる。
まず、見えたのは白い天井。
体の脱力感に寝返りをうつことすら億劫で、また目を閉じようかどうか迷っていたときに、見知った顔が視界にはいった。
「……………」
名前を呼んでいるのに、
喉がかれてるのか、声が出ない。
しかし、目を開けている俺に気づいたのか、紅葉姐さんがこちらに近づいてきた。
「……………」
ここがどこだか、口を動かしたのだが、やはり声はでない。
水でももらえるだろうか。
そう思っていると、姐さんがいきなり抱きしめてきた。
訳がわからなくて黙っていた。
すると、白衣を着た男の人が椅子から立ち上がり、こちらに近づいてきた。
見たことのある顔のはずなのだが、どうにも思い出せない。
なんとか思い出してやろうと、頭をフル回転させていると、新たなる衝撃が体を襲う。
赤いドレスを見て誰かわかった。
エリスちゃんだ。
おはよう。と言おうとしたが、声はどうせ出ないだろうと口をつむぐ。
今はエリスちゃんを心配させないように、静にしていよう。
その時、扉を勢いよく開けてなかはらさんが、入ってきた。
それに気づいた紅葉姐さんが離れた。
何かを言おうとする紅葉姐さんを押しのけてなかはらさんはやけに焦った顔で、俺を抱きしめた。
夢の事を思い出して、体が少し強張った。
しかし、これは夢じゃないんだと改めて安心すると、その温かさに力は抜けた。
思わずなかはらさんと、口を動かしていたが、声が出せないことを思い出した。
そうだ、水。
水が欲しい。
なんとかして水が欲しいと伝えようと考えていると、白衣の男性が口パクで何かを俺に尋ねた。
何で口パクなんだよ。と首をかしげた。
すると、もう一度同じことを口パクで言ってくる男性。
普通に言ってくれ。
その思いを込めて俺はもう一度首をかしげてやった。
「………………?」
すると、その男性のよこにいた紅葉姐さんまで、口パクで何かを問いかけてきた。
悪ふざけだろうか。
今度も首をかしげると、姐さんの顔が信じられないとでも言いたそうな顔になった。
男性は俺に近付くとなかはらさんを退けてまた俺に口パクで何かを言ってきた。
流石にそろそろイラつく。
明らかに不機嫌な顔をして睨むと、男性はやけに深刻そうな顔をした。
すると、今度はなかはらさんまで信じられないと言いたげに俺に近付くと力強く、肩を掴んだ。
「…………!」
何かを俺に問いかけているように、なかはらさんの口が動いた。
……なのに、なんで俺にはなにも聞こえない?
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アミ - 更新頑張って下さい! (2020年3月27日 16時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
マッキー(プロフ) - 更新頑張ってください! (2018年12月23日 23時) (レス) id: 0346650c4f (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝(プロフ) - すごく難しい気が...。でも凄くい話ですね!続きが気になります!更新出来れば再開してください。お願いします。 (2018年12月15日 7時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
魔夜美(プロフ) - 更新がんばってください (2017年5月3日 16時) (レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
白蜜 - とても面白いです!! 続きが凄く気になります! (2017年2月13日 7時) (レス) id: 6cc179f9dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いないな | 作成日時:2016年6月23日 18時