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素晴らしく最低なこの世界29 ページ29

 
 
 
「…………………」



あれから暫く………
俺はなかはらさんに会っていない………

1ヵ月と少しが経ったと思う。


バキッ!!


頬を殴られた……
痛い…でも、気にしない……


なかはらさん……怒っているだろうか…
……多分、怒ってるだろうな……


その内こちらでも雪が降り出すだろう……
なかはらさんに貰ったコートのおかげで、例年より寒さはマシにまるだろう……


ドカッ……!!


………腹を蹴られた………
痛い………

親父が何か言っている……
頭に入ってこない………


そうだ……もう少しで酒がなくなるんだ……
買いに行かなきゃ……


もしかしたら……
いや……もう俺はなかはらさんと会える様な奴じゃねぇ……
あぁ……コート返したかったなぁ………



「………………………」



怪我のお礼もしてない……
あの時のご飯のお礼も……


俺……何も出来てない………




「………………あ?」




気づけば、親父は畳で寝ていた……

俺がボーッとしていた内に終わったらしい。



「酒……買いに行かなきゃ………」


もう夜だし、寒い。
コートを着ていこう……


下手すれば、今日からでも雪が降り出しそうな気温だ。
なかはらさんの所も雪が降っているだろうか……


「おやっさん」


「いらっしゃい、いつものだろ?」


「お願いします……」


少し奥に行くと、おやっさんはすぐに戻ってきた…


「上等なコートじゃないか。
例のなかはらさんか?」


「はい…!」


「よかったな……うん、ほれいつものだ。」


「ありがとうございます」


酒を受け取って、俺はまたボーッと帰り道を歩いていた。
すると、目の前を白い物がちらつき出した……

雪が降り出したのだ……



「通りで寒ぃ訳だ………」


俺は酒を抱え直して、少し早歩きになった。


そして、アパートの階段を上がって、部屋の前に行き、鍵を差し込んだ。



「……………??」


鍵を回した…
しかし、手応えがない……
鍵が開いている………



まさか親父が…………?





俺の背中に冷や汗が流れた…

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優乃(プロフ) - お父さん最後の最後にとてもいい人で涙してしまいました…とっても好きですこの作品 (2017年3月14日 2時) (レス) id: 125a7385c7 (このIDを非表示/違反報告)
夜深 - すごい感動できる作品ですね! 続編のことまってます! (2016年8月15日 14時) (レス) id: ced2c79383 (このIDを非表示/違反報告)
黒闇(プロフ) - 素晴らしい作品です!是非、続編お願いします! (2016年6月27日 22時) (レス) id: 55dddb2e65 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編楽しみにしています!! (2016年6月26日 17時) (レス) id: 236ae9874e (このIDを非表示/違反報告)
朱白雪(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編期待してます!! (2016年6月25日 14時) (レス) id: 78c8136147 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いないな | 作成日時:2016年5月21日 14時

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