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「今のうちに俺を抱えてくれ。瞬時に動ける自信はないからな」
「はっはっはやる気満々じゃないっすかぁ!!私に死ねと!?」
「貴方なら夢で死んでも大丈夫でしょう?」
「お前が一番説得力無いんだよ!!!」
アンデルセンを渋々抱えて、遥か前方の靄の背中を見つめる。
えっこれ大丈夫?我死す?妾死去するでござるか?
「いいか、俺が撃ったら背を向けて全力疾走だぞ。」
「自分でやれって...」
「先輩、逃げ道の案内お願いしますね!」
「私多忙すぎだろ過労死するわ!!」
「肝試しと思えば容易いことですね」
「まだ六月だわ肝を試しすぎだろ肝臓がんなるぞ!!!」
なんなのこの人たちそんなに私の死を渇望してるの???
私一応君たちのマスターだからな????
「そら、撃ったぞ」
「アァアアアア緊張感が無さすぎるゥウウ!!!!」
アンデルセンが言葉を紡ぎ終わるとほぼ同時に方向転換して走り出す。
まさか本当に撃つとは思ってなかったよ...
というか唐突に撃つとか確信犯だろこの作家!!!
追ってきてるか全く分からないけど、振り向くわけにはいかない。
心臓を一突きなんて真っ平御免だからね!!
「あれ?...先輩、一旦止まってください、先輩!!」
「い゛っっだ!!!別に首根っこ掴まなくてもいいでしょ!!!」
「敵性反応、消滅しています!倒した、のでしょうか...?」
「それマジ!?やったじゃん!!やっと起きられるぜ!!俺の勝ち!!」
そう言った、瞬間。
ワイバーンの鳴き声にも似たひどい騒音が響き渡った。
建物中がビリビリ震えるくらい大きな音で、耳を押さえずにはいられない。
「どうした、喜びのあまりの奇声か?」
「此の期に及んで冗談言うような余裕があると思う?」
「助かっていませんでしたね。どうしましょうか」
「お前急に落ち着くのやめろやついていけねぇんだよ!!!」
「攻撃が効くのですから完全に不利ではありません!!マスター、指示を!!」
「は!?戦うの!?」
今から敵が来るかも分からないってのに...!!
状況を確認しなきゃいけないけど、怖くてまともに目も開けられない。
「おい、俺はいつまで抱えられたままなんだ。俺とて戦えなくはない、さっさと離せ」
「むりこわいいっしょにいて!!」
「ここに三人居るでしょう。何としてでも守り抜いて見せますとも」
「そうです、先輩一人ではありません!」
「なんか美談にしようとしてるけど私さっき過労死させられかけたからな!!」
「さて、何のことだかな」
「前方に敵影確認です!戦闘、開始します!!」
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作者名:悉雲 | 作成日時:2019年6月20日 17時