丗陸 ページ2
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「あの女はそう、酷く目障りで
嘔吐く私を他所に、鬼はどこか懐かしげに話し始めた。なぜ私はやつの思い出話など聞かなければならないのか。そう思っても体は動かず、ただ大人しくその語りに耳を傾けるしか無かった。
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数年前。
この不気味で陰気なまるで異世界のような場所、無限城に、一人の若い女の姿があった。生糸のように美しい純白の髪に、くすみ色あせた瞳。
なにより整った端正な顔立ちは、今にも壊れてしまいそうな、儚い表情で満ちている。
女は己の少しふくれた腹を酷く気にして、何かを言い聞かせるように優しく撫で続けていた。
「哀れな女だ……お前は今から鬼となる。そうなればその腹の中にいる子供も、直に息絶えるだろうな。」
無情な声で言い放つのはこの城の主、鬼舞辻無惨だ。この時、女は身篭っていた。愛する男との間に授かった大切な命。どうにかしてそれを守りたいと思う気持は、母として。また、一人の女として真っ当な答えだった。
しかし惨いことに、鬼の頂きに君臨する鬼舞辻にそんな甘い考えは通用するはずもない。
彼は殺したくてたまらなかった。目先の女と、その腹の中にある命を一刻も早く消し去ってやりたかったのだ。
「私は、あの人との間に子を授かれたことをこの上なく幸せに思っているわ。愛していたもの。例え彼があなたを必要としていても、それでも私は愛することが出来た。」
あなたは違うのね。女はそう吐き捨てた。どこまでも強気な女だった。怯むことは決してしない、通用せずともどうにかして子だけを活かす策を考え続けていたのだ。
鬼舞辻もまた、何年も行き続けてきた頭で考えていた。今ここで女を鬼にして何になるのか。己の考えているように、その女は絶望するだろうか。
女の憎たらしい顔を見つめながら、やがて鬼舞辻は一つの策を導き出した。
女にその忌々しい子を産ませてやろう。
産ませてから鬼にしても遅くない。愛情を育むこと叶わず、無様にその子を食らうまで待ってやろうじゃないか。
そうだ、それがいい。
「お前はいつになっても報われぬ。……死に損ないの
鬼狩りだ。」
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ouka#(プロフ) - あるでんとさん» レスありがとうございます…！私の気持ちが作者様のやる気に繋がることがほんっとうに嬉しいです…！！作者様のペースでゆっくり更新してください…！！よろしくお願いします！ (2020年2月10日 19時) (
レス) id: f2ed9e84bb (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - ouka#さん» 嬉しいコメントありがとうございます。やる気につながります笑今まで通り更新はスローペースになりそうですが、付き合ってくださると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2020年2月10日 19時) (レス) id: 484fc6b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
ouka#(プロフ) - 続編待っておりました…！！完結まで必ず読みます…！頑張ってください！誰よりも応援しています！！！ (2020年2月10日 18時) (レス) id: f2ed9e84bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるでんと | 作成日時：2020年2月10日 17時
