肆 ページ5
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“ あなたは強い子ね ”
“ まるで天女のように美しいわ ”
“ 自慢の＿＿＿＿＿ ”
並べられたその言葉は酷く無機質で、つまらないものだったことを覚えている。
『全集中 煙の呼吸 壱ノ型 “
独特な歩幅をとり、距離をつめて流れるよう頸を斬り落とす。とすんと鈍い音をたてて転がった頭は、恨みと嫉みを込めた瞳でこちらを睨んでいる。
徐々に漂う焼けた匂い。最後まで残ったのは宙を舞う灰と、細い煙だけだった。
これで全部。本当に、ちょこまかと小賢しい奴らはどこまでも私達の手を煩わせる。
雑魚の癖に強がり、挙句斬られ虚しく散っていく。しかし元が人間というのだから皮肉な話だ。
「煙柱様、隠が到着致しました。」
『……そう。』
「後はお任せ下さい。」
そう言った隠の一人を見たあと、ぼんやりと辺りを見回す。襲われたのは夜の集落。家の外壁には血飛沫が飛び散り、来た時には既に亡骸がいくつか転がっていた。
幸せは永遠に続く訳では無い。規格外の何かにより突然プツリと切れた幸せの糸。それを修復するには、かなりの時間がかかるだろう。
まぁ、感じるのはあくまで己自身だ。傍から見た幸せと実感する幸せはまた違う。外からはどうであれ、自分が幸せだと思うのならばまた別の話し。
『……では、頼みます。』
「承知しました。」
近くに眠る人へ手を合わせ一礼し、後処理は隠に任せるようその場を離れ歩き始める。
柱というのは忙しない。自分の任務と別に、力のない下っ端の応援として呼ばれることも多い。現に今宵がそれである。
血の匂いからするに、集落の人の他に隊士達も傷を負っているのだろう。運悪ければ死んでいる者もいる。
あんなに束でかかって三下の鬼数体程度に叶わないとは、まるで蟻が人間に踏めと言って群がっていくようなものである。なんと情けないことだろうか。
これはまた、風と蛇が腹を立てるに違いない。非常に面倒だ。片方はガミガミと、もう片方はネチネチと。とても男とは思えないほど口うるさいのだ。
炭治郎の件についてもそうだ。あの二人だけは全くもって認めようとしない。どこまでも頭の固い連中、困ったものだ。
だがそれは全て鬼を憎むゆえの言動なのだろう。酷く憎み、恨んでいるからこそ鬼を許さず殺そうとする。
『じゃあ鬼に恨みもない私は。』
ほんの少しだけ、二人のことを羨ましく思った。
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あるでんと(プロフ) - みぃさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて幸いです。ノロノロペースですが更新がんばりますね。ぜひこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月24日 1時) (
レス) id: 484fc6b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - とても面白くこの作品が大好きです。自分のペースで更新頑張ってください (2020年2月23日 23時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - そらねこ。さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてなによりです、自分のペースにはなりますがこれからも更新頑張っていこうと思いますのでよろしくお願いします。 (2020年1月29日 14時) (レス) id: 484fc6b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
そらねこ。 - すごく面白いです！無理せずに更新頑張ってください (2020年1月27日 23時) (レス) id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるでんと | 作成日時：2020年1月15日 23時
