弐 ページ3
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目の前の鬼は、私の言葉を聞いてか少し驚いたように目を広げていたが、少し経つとだんだんと笑みを含んだ顔へ戻していった。
そして1歩、また1歩と縁側へ座る私の方へ近づいてくる。
「君、本当に面白いなぁ。意識のあるまま肉を抉られるんだよ？」
ニタッと頬を釣り上げた口から、白い牙が覗いている。それはなぜだか、不思議とあの時の光景を思い出させる。
『何の変哲もない毎日を繰り返すより、痛みに耐えて死を間近に感じる方が、楽しいかもしれないでしょ？』
「痛みは想像を絶する。」
『きっと快楽に変わるわ。』
「死んでもきっと、その先に幸せな世界はないよ。」
『知ってる。極楽浄土なんて、人間が考えた世界よ。私は無になれれば、それでいいわ。』
随分色々と聞いてくる鬼に簡潔な返答をして私は傍に置いておいた
どうせこれから死ぬのだ。そこにあるのだから、好きなものは食べておきたい。
『はい、どうぞ。これで悔いは無いから、今度はあなたが
すっと、鬼に向け腕を差し伸べる。喰われるなら首元から噛まれた方が直ぐに死ねるのだろうけれど、最後くらいその痛みを感じて死んでみたい。
だがしかし、差し出された私の腕を鬼は取ろうとはせず、何かを考え込むように自らの腕を組んだ。
「……よーし、決めた！」
しばらく経つと、急に思い立ったように声をあげる鬼。表情はこれまた屈託ない笑顔。
「今は、君を喰うのをやめよう。」
……驚いた。こちらは喰われる覚悟で腕を差し出したというのに、鬼はそう言いながら私の腕を押し返したのだ。
『……なぜ、喰べないの？』
「君が面白い人間だからかなぁ。死ぬのを怖がらない人間なんて、俺は見たことが無い。」
面白いという理由で、目の前の
興味深げな顔で私を見つめる鬼には、少なくともそういう感性があるらしい。
「君という人間がどういう存在なのか、それを知るまで俺は君を喰らわないと約束するよ。」
『別に、いつ喰べてくれても私は構わないわ。』
「ははは、本当に面白い人間がいたものだなぁ。」
その鬼はまた、お得意らしい笑顔を見せながら言った。
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あるでんと(プロフ) - ぱんさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。風邪は年末から年始にかけてすでにひいたので大丈夫だと思います笑 (2020年1月15日 23時) (
レス) id: 484fc6b4f6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん - とても面白いです！続きを楽しみにしてますが、すんごい寒いので体調に気をつけてくださいね！ (2020年1月14日 17時) (レス) id: 03bfdf54f9 (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - あさん» 童磨のキャラブレがとても心配だったので、そう言っていただけて嬉しい限りです。完結までは私のペースになってしまうと思うのですが頑張ろうと思っているので、これからもぜひ、よろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あるでんと(プロフ) - 狂狐さん» 返信遅れて申し訳ありません。勿体ないお言葉、本当にありがとうございます。とても嬉しいです。少しずつ更新していこうと思っているので、これからもよろしくお願いします。 (2019年10月27日 7時) (レス) id: ee9413cc7b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 童磨さん最高です。すごく面白かったです、これからも応援させていただきます。 (2019年10月24日 17時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるでんと | 作成日時：2019年7月20日 15時
