しずむアストロ【イナGO】１ (ページ7)

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(色々と疑問は残るだろうけど、ひとまず今答えるのは止めておく。

…俺のことはゴーストとでも呼んでよ。じゃあ、また会いに行くから)

「…A、大丈夫？」

天馬くんに隣から声をかけられ、「大丈夫。ぼーっとしちゃってた」と返す。
秋さんと作ったお味噌汁の大根を食べながら考える。あの声の主…ゴーストは、夢の中から私に接触していたのだろう。まだ分からないことは沢山あるが、次に夢の中で会えるときまで待つしかない。私のことを色々知っていたようだけど、なんだか悪い人じゃ無いように思う。姿も見えなかったから人かどうかも分からないのだけど。

「Aちゃん、やっぱり今日はやめておく？見学なら明日でも出来るし」

私の様子を見て秋さんも問いかける。「ほんとに大丈夫だよ」と笑って返すと(最初は敬語で話していたけど『そんなかしこまらなくていいのよ！』と言ってくれた)、「ほんとに無理しちゃだめだからね」と心配そうに言った。

「練習見に行きたいんだ。転校の書類も早めに出しに行かなきゃね」
「楽しみだなあ、部活のみんなにも言っておかなきゃ！

それにしても、この卵焼きおいしいね！いつもと味付け変わった？」
「今日はAちゃんが作ってくれたのよ」
「へえ、料理が上手なんだね」
「へへ…ありがとう。昔からよくやってたの」

なんて穏やかな時間なんだろう。この優しさをかみしめるように、口に運んだ卵焼きをゆっくりと味わう。うん、美味しくできてる。

朝練があるから、と早めに家を出た天馬くんを秋さんと見送った。

あれから私は、自室の掃除をしたり昼食を作ったり、木枯らし荘の住人の皆さんに挨拶をしたりなかなか忙しい時間を過ごした。1階から3階まで個性的なメンバーが揃っていたけれど、天馬くんの言う通りみんな親切で面白い人ばかりだ。

ブラウスの袖に腕を通しボタンを留める。黒いタイツとスカートを履いて黒いリボンを結ぶ。鏡を見ると、雷門中学校生徒の暁Aが映っていた。例のリュックに入っていた制服をありがたく使わせてもらうことにしたのだ。

下の階から、秋さんが私を呼ぶ声がした。すぐ行くねと返事をし、リュックを背負って階段を下りる。

「忘れ物はない？」
「うん、大丈夫」
「よし！それじゃあ行きましょうか」

玄関を出ると、大きいワンちゃん(サスケだったかな)が庭でお出迎えをしてくれた。頭を撫でて行ってきますを言うとクウンとうなづいた。かわいい。