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翌日から、私は正式にサッカー部に入部した。マネージャーの皆に仕事を教えてもらいながら、なんとか無事に初日を終えることができた。
「どーよ。マネジの仕事は」
「大変でした……３人ともすごい」
「Aさんもすぐ慣れますよ！」
「飲み込み早かったから、きっと大丈夫」
水鳥ちゃんに葵ちゃん、茜ちゃんが笑顔で励ましてくれた。マネージャーの3人をはじめ、選手の皆も優しくて楽しい人たちばっかりだ。
1年生はとにかく皆可愛らしくて、２年生は全員個性が強くて楽しい。３年生の先輩方はみんなとても頼もしいし、音無先生や円堂監督もとても親切で…ここにいる皆が、サッカーが大好きなんだと分かる。彼らを間近で見ることができて、すごく嬉しい。
「イナリンク？」
帰り道。一緒に帰ろうと誘ってくれた数名と帰路を共にしていた。
「そう。グループでメッセージのやりとりができるの」
茜ちゃんが携帯の画面を見せて説明してくれた。どうやら雷門中の人たちが使えるSNSで、クラスや学年、部活など色々なグループがあるみたいだ。先生も履歴を閲覧できるからか、生徒の発言数は多いけどとても平和なんだとか。
「アドレス交換しよーぜ。アタシが招待するからそっからグループ入りな」
水鳥ちゃんにそう言われ携帯を取り出す。後ろを歩いていた浜野くんたちがひょいと覗きこんできた。
「あ、黒だ」
「見た目がきれいですね。新品ですか？」
「うん、昨日買ってもらったんだ。携帯持つの初めて」
「へー。割と遅めだな」
この携帯電話も、秋さんが「なにか連絡を入れることがあるかもしれないし、お友達とやりとりが出来て楽しいわよ」と買ってくれたものだ。今まで携帯電話を買う余裕なんて無かったから、なんだか新鮮な気持ちになった。秋さんには本当に良くしてもらってばっかりだな…うれしいけど、やっぱり申し訳ない。
「できた！水鳥ちゃんありがとう」
「こんくらいどーってことないって」
「ちゅーか俺らともアド交換しよ」
「あ、じゃあ俺も」
秋さんと天馬くんしかいなかったアドレス欄に、一気に５人の名前が追加される。
「これで、Aちゃんもサッカー部の一員」
茜ちゃんが微笑むのに続いて、倉間くんも笑った。
「そーだな」
「改めてよろしくっつーことで！」
「よろしくお願いします」
「明日もアタシがビシバシしごいてやんよ」
また、心が「温かい」で満たされていく。ふ、と笑みがこぼれた。
「…お手柔らかにお願いします」
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作者名：飯 | 作成日時：2021年9月2日 22時
