【星のｶｰﾋﾞｨ】滅びた星に...【part2】

story.55 ページ8

Aの言葉を聞いたメタナイトの仮面の下の瞳が、僅かに光を増した。



「……それも良かろう。カービィの力を確かめる絶好の機会──」



呟くメタナイトとA、ソードとブレイドが崖上から戦いを見守る中、バグジーの攻撃を尚も避け続けるカービィに行動を指示したのは、その付近に居る、地面から身体を起こしたパンサーとブンの二人だ。



「カービィ、吸い込みだ!」

「得意技でやっつけろー!」



彼等の声に、魔獣から距離をとったカービィはすぐに基本技の吸い込みを始める。

周囲の空気をも巻き込む彼の吸い込みは、昆虫魔獣であるバグジーの背にある羽を揺らがせこそしたものの、本体は全く動じずに余裕の表情を浮かべていた。

やがて何も口の中に入り込まない内に、疲れ果てた彼は吸い込みを止めて荒い呼吸を繰り返す。



「……あの魔獣も、カービィには吸い込めないのですか?」

「カービィに吸い込めない物は、極端に重いか、或いは大き過ぎた時だ。あの大きな敵を彼に吸い込めると思うか?」



決闘の時にその場に居なかったAは、メタナイトから改めてカービィが吸い込めない対象の条件を聞かされた。

極端に重いか、大きいか──前者は以前戦ったブロッキーのような魔獣の事で、後者は今まさに目の前にしている、魔獣バグジーに該当している。


ならば、魔獣そのものの代わりにカービィが吸い込める物を探し出すしかない。
彼が吸い込める物……彼の力になる、武器。コピー出来る物。

考えながら、無意識の内に腰に携えていた剣に手を振れていたAは“それ”である事に気が付き、咄嗟に鞘から引き抜いた“武器”を宙に放り投げた。



「カービィ、これを吸い込んでください!」



もしかしたら、カービィはこれをコピー出来ないかもしれない。
しかしメタナイトと少しでも剣を交えた筈の彼なら、全く使えない事は無い筈。

自分の投げた武器が彼の力となる事を信じて、それを上手く吸い込んだカービィの姿を見つめる。


──すると、彼は間もなくコピー能力を発動させ、自らの姿を変貌させた。
黄の縁取りをされた緑の三角帽子をかぶり、右手に一振りの剣を構えたその姿。

それを目にしたメタナイトは、確信を得た声色を以て今の彼の正体を口にする。



「あれぞソードカービィ!」

「ソード……」

「カービィ?」


「技さえ覚えれば、最高の剣の使い手だ!」

「頑張れ、カービィ!」

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