story.89 ページ42
木の伐採に夢中なデデデに、自身の声は一切届くことはない。
そう察したAは力無く項垂れ、珍しくも全く人目を気にせずに涙を流した。
確かに、ほんの短時間で親しい存在を失わされたら、泣かずに居られる筈もない。
少しでも彼女の心中を汲み取りたかったブンも、つられて泣きそうになる。
だが――だからこそ、彼は根気強く、何度だって姉に呼びかけた。
「姉ちゃん、このままじゃマズイ! 何とかしないと!」
「…………」
「おい、さっきからだんまりばっかで! 聞こえてんのかーっ!?」
ブンに続いて、どうにか出来る方法があるなら早く言えと促すトッコリの声。
本当なら無慈悲に感じるところが、今だけはその無神経さに少しばかり感謝した。
更に、項垂れたままのAの肩を片手で掴んだブンが急き立てる。
「しっかりしてくれよ! 姉ちゃんがどうにかしてくれなきゃ、森は全部切り倒されて──デデデ達の思う壺じゃんか!!」
別に、自分とウィスピーウッズに僅かでも何かしらの繋がりがあった訳ではない。
でもそれが、Aにとって涙が出るほど悲しい出来事だというのなら、この現状をそのまま見過ごすだなんて、こちらの腹の虫が収まらないのだ。
そんなの嫌だ。何度も強く訴えかけたブンの言葉は、Aの耳に届いた。
「…………カービィ……最早、ウィスピー様の森は、貴方にしか救えません……」
「A」
ようやく、僅かながらに顔を上げたAの視界が捉えたのは、小さくて未熟な戦士。
デデデの手により何本もの木が伐採されてしまうのは、もうどうしようもない。
しかしそのウィスピーウッズの森を復活させる手段ならば、一つだけあるのだという。
涙に濡れた瞳のAと、純粋な光を全く損なわない瞳で視線を返すカービィ。
彼は舌足らずな口調で、たった一声。願いを聞き届けるように、彼女の名を告げた。
「──愚かな人民共! 陛下の発表でゲス!」
「発表するゾイ! ここにワシ専用のゴルフコース“デデデロイヤルカントリークラブ”を、作るゾーイ!!」
彼等が密かに交わした会話を知る由もない者達の愚かな決断が、今回の騒ぎを聞き、早朝ながらに駆けつけて来た村人達へともれなく伝わる。
そして、Aはこの時に初めて知った。
デデデ専用のゴルフ場のために、この日――幾つもの命が消えていった事を。
〜･〜･〜
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Laven - Taruruさん» いいえ、こちらこそコメントくださって本当に嬉しいです! 作品をUPし始めたのも見切り発進なところがあるので、本気で頑張ります…… (2017年10月23日 14時) (
レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - Lavenさん» 返信ありがとうございます……ひぇえまさかLavenさんに見て頂けていたとは……！恐縮です……。全く気持ち悪くないですし非常に嬉しい限りです、ありがとうございます！一緒に頑張りましょう〜。 (2017年10月22日 20時) (レス) id: 8e78fb62fe (このIDを非表示/違反報告)
Laven - Taruruさん» コメントありがとうございます〜!! 恐れ多い褒め言葉です嬉しいです……実は私もTaruruさんの作品の更新をひっそり心待ちにしています(気持ち悪い発言ですね御免なさい)。こちらは大変遅筆な作品ですが、気長に閲覧くだされば幸いですm(_ _)m (2017年10月22日 14時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - 続編おめでとうございます〜！文章の書き方が好きで最初の方から見させて頂いております！更新頑張ってください！ (2017年10月21日 22時) (レス) id: 8e78fb62fe (このIDを非表示/違反報告)
Laven - 咲良さん» うわわぁぁ〜〜!! コメントありがとうございます! 更新もストーリー進行ものろのろですが、閲覧してくださって嬉しいです……頑張らせていただきます……!! (2017年10月14日 19時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年10月14日 13時
