story.86 ページ39
「で、ウィスピーウッズ。お前の武器は?」
「武器……? 見ればわかるだろう。根っこは埋まって使えない、リンゴは全て落とした。当分、俺は丸裸さ」
そうだ。“悪党共”を捕らえるために、ウィスピーウッズは手段を使い果たした。
エスカルゴンの問いかけに、当たり前の事を聞くなと言わんばかりに大樹が返す。
「よくやったゾイ」
「では、御褒美をあげるでゲス」
計画通りに事が運んだのがそれほど愉快なのか、満足げなデデデとエスカルゴンの声。
その数秒後、車のものとは全く違う機械音がうるさく鳴り響き始めたのを聞き、途端にAの胸中に不安が募った。――これは、何の音だ。
すぐに判別はつかないが、嫌な予感だけがAの心をいたずらに責め立てる。
「……なにをする?」
「どぅわはは! お前を伐採ゾイ!」
機械音を唸らせる物の正体を見てか、怪訝そうに問いかけるウィスピーウッズ。
続けて、また当然の如く受け答えをしたデデデの一声で、Aは戦慄した。
デデデかエスカルゴンのどちらかが手にしているだろう機械の正体がわかったのだ。
もはや疑いようもない、未だに聞こえるこの音はチェーンソーが出す機械音である。
リンゴに埋もれた視界で、両者のやり取りとその場を纏う空気感だけを頼りに状況を探ったせいか、その事実を知った以上に恐怖に震えあがる心地がした。
「──悪党は、この子供達ではなかったのか……!?」
「そのガキ共はお前を見つけるための単なるガイドでゲス」
「郵便局長のモソ以外に、お前の居場所を知る者はおらん。だから手紙を出して、お前が姿を見せるように仕向けたのだ」
「名付けて! ウィスピーウッズ騙し作戦!」
驚愕に陥るウィスピーウッズの声色が、Aの涙腺を微かに刺激する。
いや、今は悲観に暮れて泣いている場合ではないだろう。
どうにかして森の王を守らなければと身じろぎするが、A達に圧し掛かるリンゴはビクともせず、四肢を動かすのもままならない。
「待て……! 何故、俺を切るのだ!?」
「お前は森の王様ゾイ。この森を全部切り倒すには、どうしても死んでもらうゾイ」
「…………この森を、全部……!!」
「行くゾーイ!」
エスカルゴンとデデデが調子良く話している内に。そう思ったのに、打つ手はなし。
後者が景気良く伐採の合図を告げたのを皮切りに、一行に極度の緊張が走る。
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Laven - Taruruさん» いいえ、こちらこそコメントくださって本当に嬉しいです! 作品をUPし始めたのも見切り発進なところがあるので、本気で頑張ります…… (2017年10月23日 14時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - Lavenさん» 返信ありがとうございます……ひぇえまさかLavenさんに見て頂けていたとは……!恐縮です……。全く気持ち悪くないですし非常に嬉しい限りです、ありがとうございます!一緒に頑張りましょう〜。 (2017年10月22日 20時) (レス) id: 8e78fb62fe (このIDを非表示/違反報告)
Laven - Taruruさん» コメントありがとうございます〜!! 恐れ多い褒め言葉です嬉しいです……実は私もTaruruさんの作品の更新をひっそり心待ちにしています(気持ち悪い発言ですね御免なさい)。こちらは大変遅筆な作品ですが、気長に閲覧くだされば幸いですm(_ _)m (2017年10月22日 14時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!文章の書き方が好きで最初の方から見させて頂いております!更新頑張ってください! (2017年10月21日 22時) (レス) id: 8e78fb62fe (このIDを非表示/違反報告)
Laven - 咲良さん» うわわぁぁ〜〜!! コメントありがとうございます! 更新もストーリー進行ものろのろですが、閲覧してくださって嬉しいです……頑張らせていただきます……!! (2017年10月14日 19時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Laven | 作成日時:2017年10月14日 13時