story.77 ページ30
Aに指摘されて、ブンは初めて自分の立つ当たりの景色を冷静に見渡してみた。
木、木、木──どこもかしこも、木。どれも見覚えのある木に思える。
自分たちは今まで、木々の隙間の道を辿ってここまで来ていたはずだが、目印らしい目印がなければ、どの方角から歩いてきたのかさっぱりわからないのだ。
「そういえば俺達、どっちから来たんだっけ……?」
四方八方どこを見ても、ただ同じ景色が切り貼りされて一つに繋がっているだけのようにすら見えてきた。
見れば見るほど混乱していくのを感じたブンは仕方なくAを見上げたが、そのAも、どこか虚空を見つめて行き詰った表情で居ながら、呟き声を零す。
「…………やはり此処は……」
「じょ、冗談じゃねえよ!!」
「でも、もしそうだったら──ウィスピー様の」
「ウィスピーウッズの森!?」
予感めいた彼女の言葉を遮るようにしてトッコリが叫んだものの、現状は変わらない。
ならば今はそれを受け入れなければと、改めてはっきりその名を口にしたA。
そしてブンもようやく事態を察して声を上げた。
この近辺に住む者達の中で、彼の名を知らない者はいない。
「俺が尊敬する、クー様が話してくれたっけ……」
驚愕に腰を抜かしたトッコリは、地面の上にへたり込みながら、震える声で語る。
ウィスピーの森に迷い込んだら大変だ。同じような木が無限に続いて方向を見失う。
真っ直ぐ進んだつもりで、いつの間にか元に戻っている──。
そこに住む動物も迷子になるほどの迷いの森なのだ。
いつしか、クーがトッコリに言い聞かせてくれていた話だ。
当時は自分には関係のない事と軽く聞き逃していたが、今になって思い出した。
「トッコリ、急げ! まだ明るい今の内だ、早く森の出口を探すんだよ!」
「で、ででも、どっちへ……!?」
「お前なら平気じゃなかったのか!?」
「──わ、わかったよっ!」
ブンに発破をかけられ、怒鳴るように返したトッコリはあっという間に飛び立ち、豆粒ほどの大きさになるまで空高くまで行くと、どこへやらと姿を消し行く。
ああ、自分達にもあのように空を飛ぶための翼があれば。
いや、パンサーの協力を得られれば、きっと今すぐにでも森から出られるだろうに。
せめて、どうか──大地を照らす太陽よ。あの小鳥が戻るまで、ゆっくりと暮れて。
胸の前で両手を組んで祈っていると、静寂な森の中、ふとガサリと小さな物音がした。
「…………! 今、音が……!」
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Laven - Taruruさん» いいえ、こちらこそコメントくださって本当に嬉しいです! 作品をUPし始めたのも見切り発進なところがあるので、本気で頑張ります…… (2017年10月23日 14時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - Lavenさん» 返信ありがとうございます……ひぇえまさかLavenさんに見て頂けていたとは……!恐縮です……。全く気持ち悪くないですし非常に嬉しい限りです、ありがとうございます!一緒に頑張りましょう〜。 (2017年10月22日 20時) (レス) id: 8e78fb62fe (このIDを非表示/違反報告)
Laven - Taruruさん» コメントありがとうございます〜!! 恐れ多い褒め言葉です嬉しいです……実は私もTaruruさんの作品の更新をひっそり心待ちにしています(気持ち悪い発言ですね御免なさい)。こちらは大変遅筆な作品ですが、気長に閲覧くだされば幸いですm(_ _)m (2017年10月22日 14時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!文章の書き方が好きで最初の方から見させて頂いております!更新頑張ってください! (2017年10月21日 22時) (レス) id: 8e78fb62fe (このIDを非表示/違反報告)
Laven - 咲良さん» うわわぁぁ〜〜!! コメントありがとうございます! 更新もストーリー進行ものろのろですが、閲覧してくださって嬉しいです……頑張らせていただきます……!! (2017年10月14日 19時) (レス) id: 8121ec6dbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Laven | 作成日時:2017年10月14日 13時