story.36 ページ37
すると、数ある岩が目で追いつかないスピードでどんどん彼の口の中に入って行く。
これは食事の時などにも見られる光景と同じ程度の、彼の力だ。
ああして呑み込まれた物が何処へ行ってしまうのかは、彼のみぞ知る謎のままだが。
「普通の岩ならこんなに吸えるのに……。カービィ、今度はあれだ!」
今度はブンに呼ばれ、彼の傍らに立ったカービィは、崖下で静かに存在するA達より何倍も大きな岩を吸いこもうと、大きく口を開いた。
質量としてはブロッキーより若干少ないくらいの岩だったが、それでも大きい物は大きいし、重たいものは重たい。
吸引力で多少岩を動かしはしたものの、それがカービィの口に入る事はなかった。
「やはり駄目そうですね……」
「幾らカービィでも、上に吸い込むのは無理か」
「…………上に……?」
腕を組んだブンが何気なく呟いた言葉が、不意にAの思考に引っ掛かる。
カービィが吸い込んでいた岩が、彼等の目の前で重力に従い地面の上に戻った。
それから、上と聞いて自然と空を見上げた彼女の脳裏に過ったのは、巨大化したブロッキーが、此方を押し潰さんと自ら飛び掛かってきた姿──。
この世に存在するあらゆるものは、自然の摂理には逆らえない。
それは相手とて同じ事ならば……ブロッキー攻略の答えは、あった。
「カービィ、この逆だったらどうですか?」
「え?」
ついさっき吸い込めなかった大岩を示しながらAが言いだした事に、何が逆なのだと疑問符を飛ばしたブンと、きょとんとしたカービィの視線が返る。
だから、つまり──考えるところを説明しかけた彼女の発言を止めさせたのは、辺りを見張っていたパンサーが少々慌てた様子で戻って来たその姿。
「A! 敵が近づいて来たみたいだぜ。あの臭いが強くなってきてる」
「……一先ず崖の下に行きましょう」
此処で説明をしてもしなくても、カービィが作戦を実践に移せれば万事解決だ。
パンサーの注意を受け止めたAは一度、胸に秘めた言葉を押し込めて、自分達が遥か高い崖の下に先回りをするよう、パンサー達を誘導した。
──敵の特徴を利用すれば、活路は開ける。
メタナイト、貴方の伝えようとしていた事がまさにわかった気がする。
Aは今や、デデデ等が差し向けた彼の魔獣を倒せる確信を得ていた。
〜･〜･〜
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
