story.29 ページ30
「に、二万年前の貴重な壺が〜……」
「カービィ……」
「ぽぉよ……?」
おおカービィ、貴重な壺を割ってしまうとは情けない。
Aはとんでもない事態に目を回して倒れるキュリオの傍らで、そんな馬鹿馬鹿しい冗談も言えずに絶句していた。
無心で居なければ気が動転してしまいそうな状態のAに、ブン達が腫れ物を見るような視線を送りながら向かったのはガソリンスタンド。
此処の店長は青年のガス──ただ、車を持っているのは村でもレン村長とデデデ大王くらいなので、忙しい仕事という訳でもないそうだ。
一行はそれを理由に、此処でカービィに宿を与えて貰えないかと交渉しに来た。
「コイツを雇えだと?」
「確かに好奇心は強いですが……、危険ではありません」
「こんなのに限って、“押してはいけない”というボタンを押すものさ」
肩を竦めるガスに、何処に押してはいけないボタンがあるのかと疑問を抱く。
こういう所だからこそ、そんなボタンは少なくとも子供達の目のつきやすい場所にあってはならないと思うのだが。
「でもそうだなあ、君が今度一緒に食事でもって言うなら──」
「ぁ…………」
Aが問いを投げる前に何やら話しかけていたガスだが、ふと視界の端に映ったピンク色が気になって視線を移した彼女が、目を見開いた時がこの世の終わり。
小さな声を出した事で、途中で言うのを止めたガスも背後を振り返る。
そして事態を目にする前に、視界が灰色に埋め尽くされた。
気が付いた時には自分達は遥か上空──いつの間にか遠くに見える爆破が起こったガソリンスタンドが、まるで廃墟になっているかのようだ。
「──消えろーっ! 二度と顔を見せるなあっ!!」
村から離れた丘の上にまで飛ばされて、真っ黒になったガスがカービィに向かって、悲鳴にも似た怒鳴り声を上げたのは、きっと珍しい光景だったのかもしれない。
しかし何故押してはいけないボタンで大爆発を起こす機能がスタンドにあるのだ。
疑問は尽きないものの、やってしまった此方にしか非がないので大人しく撤退。
それにしても、家探しとはこんなにも上手くいかないものだったのか。
却って上手い具合に見つからないカービィの宿。運の神様にでも嫌われたのかしら。
最終的に再びトッコリの巣に戻って来てしまった一行は、森に住む梟のクーに説得をお願いしたのだが──。
「嫌だったら嫌だ!」
「わからず屋め! 塒ぐらい貸してやれば良いだろうが!」
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
