story.24 ページ25
「おいっ、トッコリのケチー!!」
「トッコリさん、一人くらい住まわせてあげられませんか?」
「お断り、だっ!」
ブンの非難の直後、Aから改めてお願いしても頑なに拒んだ“トッコリ”と呼ばれる鳥は、そっぽを向いて巣の中へと戻ってしまう。
追い出されたカービィは切なくも木の根元でどうにか雨を凌いでいた。
雨宿りか──そう考えたところで、Aはカービィがこの村に住むにあたり重大な問題があった事に、やっと気が付いたのである。
「カービィにはお家がありませんでしたね……」
「星の戦士も宿なしかあ……」
人が移り住むといったらまず必要なのは住居であるに違いないのに、とんだ盲点だ。
眉を下げる傍らで、これまた格好のつかない問題だと言いたげなブン。
生憎と村には空き家のような場所は無いと記憶している。
だが毎日食べ盛りな彼にも、落ち着いて食事の出来る場所が必要だろう。
「A様?」
「はい……?」
「雨宿りなら、どうぞ中へ」
さてどうするか、考えれば方法は幾らでもありそうなものだが。
思考を巡らせていると、丁度後ろにあった窓が開き上品な女性の声が掛けられる。
家の中、窓から顔を出したのは村長夫人のハナだ。
子供達が駆け込んだ、近くにあった屋根の下は、村長夫妻が住む家であった。
雨の降る外は冷えるだろうというハナの心遣いにピンときたAは、笑みを浮かべて彼女に一つ頼み込んでみる。
「そうだ、ハナさん。お願いがあるのですが……」
「なんでしょう?」
「カービィを此処に住まわせて差し上げられませんか?」
「──な、なんですって!?」
空き家が無いのなら、誰かにカービィを家に住まわせてもらうしかない。
ふと考え付いたAにとってはさり気ない頼み事のつもりだったのだが、その発言はハナに言い知れない衝撃を与えたらしい。
呼吸を忘れてしまっていそうな驚きの声を上げると、取り繕った愛想笑いをして。
「ホホホ! 御冗談を……!」
Aの頼みを拒絶するように、パタリと窓を閉ざされた。なんという虚しさ。
きっと夫人は先日のパーティで起こった強烈な一部始終を思い出したのだろう。
ハナは上品に笑っていたが思いの外、笑いごとではない──どうやらこれはカービィにとって深刻な死活問題となり兼ねなさそうだ。
となれば無闇に先延ばしにせず、早い内に何らかの方法で解決してやらなくては。
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
