story.22 ページ23
気を取り直したAは、努めて柔らかな笑みを浮かべたまま、自身を見上げるカービィに言い聞かせる。
「さすらいの旅が貴方の定めなら、貴方にとって、出会いも別れも必然ですわ」
さあ、行って──促した彼女の声に素直に従い、表情を曇らせたまま、ついに宇宙艇に乗り込んだカービィ。
視線はずっとA達を捉えたまま、コックピットがガラスのドームに覆われると、宇宙艇がゆっくりと発進を始め、徐々に上昇していく。
思わず後を追いかけるパンサーやブン、ロロロ、ラララの姿が視界の端に映る。
ただ、その場に立って見送っている自分が酷く薄情者のように思えた。
カービィ、たった一日の出会いだったけれど、これで本当に貴方とお別れ。
でも宇宙の果てにすら行ってしまうかもしれない貴方をどう思えば良いのだろう。
世界が許すなら自分は間違いなく彼を此処に止めただろうに……。
──そんな、彼女の心の内だけの思いが何かに伝わったのだろうか。
「あ…………!?」
星型の宇宙艇の数か所が謀ったかのように爆発し、浮力を失って墜落していく。
これには佇んでいたAも驚いて走り出し、落ちる船を追いかけた。
丘の向こうで、何らかと衝突した音を放ちながら落下した宇宙艇の許まで駆けつけると、目の前に吹き飛ばされたカービィが転がって来て、きょとんと瞬きを繰り返す。
「ぐう、なにもかも滅茶苦茶ゾイ! ──この馬鹿者!!」
一体どうした事か、視線をカービィから前方へ移すと、二度目の無残な姿と化した彼の宇宙艇、そしてその下敷きになって潰れているデデデの装甲車。
やはり、彼等にしてはあまりに親切なあの修理には裏があったらしい。
だが返り討ちに遭ったというところか、今度は装甲車を修理する事になりそうだ。
「「あっはははは!」」
「……当分、帰れそうにありませんね。此処に住まわれますか?」
「ぃよっ!!」
怒ったデデデがハンマーを構えるのを見て、今度はエスカルゴンが逃げ回る。
さも可笑し気なパンサーやブン達の笑い声をバックに、立ち上がったカービィに微笑んだAが問いかけると、まさに望んでいた言葉を受け取った彼は、これ以上にない嬉々として、彼女の問いに二つ返事で応えていた。
〜･･〜･･〜･･〜
story.23 「第2話：大変! 戦士のおうち探し」 ○→←story.21
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
