story.21 ページ22
そしてもう一度オクタコンと向き合うと、最後とばかりに全力と見える、口から吐き出す炎による攻撃を本体に命中させ、火力で敵を押し込んで行く。
建物に足を回していた敵はこの火力に対し暫く粘ったが、傍に立つA達にさえ感じ取れる熱さと、凄まじい勢いの攻撃は耐え難かったか。
小爆発を起こすと、脱力したオクタコンはそのまま遥か彼方へと吹き飛ばされ──あれほどの巨大な身体が空の中で小さくなり、見えなくなった。
それからあの敵が空の中で消えたのか海の中に沈んだのか、知る者は居ない。
「やったぁ!」
「カービィ! お前ときたら最高の戦士だぜ!」
戦いが終わると、カービィのファイア能力が終わったのか否や自ずと解除され、乗っていたワープスターも、元の小さな欠片に戻り……Aの手中に帰った。
ブンとパンサーが飛び跳ねて喜ぶ声と、“飼っていた”魔獣を失ったデデデの泣き言を背中に聞きながら、両手で包み込んだワープスターを胸元に寄せて呟く。
「……カービィ……本当に、貴方こそが星の戦士──」
彼女の声は夜空の暗闇の中に消えて行ったが、果たして誰が聞き取っただろう。
カービィが魔獣と戦う最初の光景は、Aの脳裏に強くはっきりと刻み込まれた。
〜･〜･〜
いつしか忘れ去られた“機械”の扱いに何度か失敗し、爆発を起こしていたのが、あの晩、城の一角から上がっていた煙の正体だったようだ。
それでもエスカルゴンの手により修理されたカービィの乗って来た“宇宙艇”が、墜落して来た時の見るも無残な姿から、綺麗な乗り物に元通りになっている。
唯一心配なのは、これを直したのがエスカルゴンであるという点なのだが、今や星の戦士とわかったカービィに与えられた使命があるのなら、いつまでも此処に止まらせてはいけない。
「──短い御付き合いでしたね。……さようなら」
「…………」
喋る事の出来ないカービィは、Aに告げられて無言のまま宇宙艇に歩み寄る。
だが寸での所で立ち止まると、別れ難い表情をして再びAを見上げた。
離れたくない、どうしても行かなければならないのなら皆も一緒だと良いのに。
そんな彼の心情が伝わって来た気がして、胸がチクリと痛む。
というか、この表情はちょっと、いやかなり──……。
確かに此方も、村を救ってくれたに等しい活躍をしてくれた彼との別れは辛い。
でもここは敢えて心を鬼にして、出発を見送ってやらなければ。
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
