story.20 ページ21
「カービィーっ!!」
Aが階段の先のバルコニーに出た時、既にカービィは窮地に立たされていた。
──ワープスターと呼ばれるエネルギー源とは教えられたが、どうすれば良いのか判断がつかなかった星の欠片を、とにかく彼に見えるように高く掲げる。
カービィは彼女に呼びかけられた通りに視線を向けると目を見張り、次の瞬間には、子供が暫く会えていなかった母親と対面した時のような満面の笑顔を見せた。
その勢いか、彼は村長の家でやったように辺りの物を呑み込まんと大きく口を開く。
宙に浮かぶ小さな魔獣達は次々と彼の口の中に吸収されていった。
巻き起こる風がAの黒髪を揺らし、後から走って来たブンの身体を持ちあげる。
それに気づいた前者が手を伸ばしてブンを踏み止まらせたが、驚きは止まない。
「吸い込んだ……!?」
「あれほど食べたのに……」
「──あれぞカービィの基本技、“吸い込み”」
昼頃にスイカを丸々一個、夕食に十数人前を一口で。
そして今はそれらを物ともしない量が、彼の中に取り込まれている。
あの力をAは彼が持つ特技だと推測したが、今傍らに立ったメタナイトが、カービィのあの旺盛な食欲の正体を告げた。
続いて、城外に現れたオクタコンが放った炎の攻撃すら全て吸い込んだ彼は、ただのピンク色の球体から姿を変え、燃え盛る火炎をそのまま身に纏ってしまう。
「む、コピー能力だ!」
「コピー?」
「相手をそっくり吸い込んで、その能力──あるいは姿までも写し取る。今彼は、ファイアカービィとなった……!」
珍しく興奮交じりになっているメタナイトの声色も気に留められないほど、Aもカービィの未知なる力に感心し切っていた。
相手が吐き出した炎をまた吸い込み、吐き出し返してダメージを与える。
しかし同じ攻撃を同じ量だけ返しても相手は焼き切れず、まだ息絶えてはいない。
「カービィっ!」
そこでAが、もしワープスターが彼の更なる力になるのであれば――と願いを託し、手裏剣を投げるようにしてカービィに向かって手元から放った。
宙に浮かんだ小さな欠片は、片手で摘まめる大きさからカービィより一回りほど大きな星となって、空を飛べない星の戦士の足場の役割を果たすようだ。
カービィはそうするものであると知っているかのように星型の足場に乗ると、建物の周囲を旋回しながら敵の足による攻撃を誘導し、空高く上昇する。
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
