story.2 ページ3
決して狭くない水槽に居るにも関わらず、一ヶ所で大人しくじっとして、心なしかこの場に集った人々と目を合わせて居るように感じる。
村民曰くまさにあの姿をした巨大な怪物が、村長の飼う羊を食ったという話だが。
「これはワシの可愛いペットのオクタコンちゃんゾイ。──ほーら、おいちいシシャモでちゅよ〜」
ペットとは言え、自室でなくこの玉座でこれ見よがしに飼っているのは疑問である。
オクタコンと呼ばれる生物は、水槽に歩み寄ったデデデが落としたシシャモを一度に口内に入れ込み、それはさぞ美味しそうに食べていた。
「こんな可愛いペットがどうやって羊を食うゾイ?」
「まったくでゲス。──早く下がらんと裁判抜きで、極刑でゲスよ!」
「…………」
デデデが再びテーブルに着いた後、次はAが水槽に近づき中の生物を凝視する。
確かに、あの手の平サイズの生物が何匹もの羊を食い荒らしてしまうという事態は、とても考え辛い。
しかし村民の言う事を疑いたい訳でもない、これにはきっと何か秘密が──。
思考に耽る間、オクタコンの表情が徐々に険しくなっていく極些細な変化に、確かにそれを見つめていた筈の当時の彼女は気付けなかった。
〜･〜･〜
翌日の朝、人々が集う場所が一転。
一行の目の前には、村はずれの深い谷の中にそびえ立つ巨大石像がある。
人々は、この巨大石像が地に響くような声で言葉を喋る上に、秘めたる力を有している事を知っていて、今この場に集まったのだ。
「村人、そしてデデデ城の大臣パームまで、何の用かな?」
「尊敬する賢者の岩、カブー殿。恐ろしい怪獣が毎晩、羊を食い荒らし──」
「お蔭で眠れなくて肌は荒れるし……」
「デデデ大王のせいとは言いませんが……」
「その可能性もあり──」
パーム、メーム、レン村長、ボルン署長等が“カブー”と呼んだ、自身より十数倍もの大きさを誇る賢者の岩に向ける表情は、ただ一つだった。
今までにない村の悲劇に、予言能力を持つ彼の存在に縋るように応える。
また、ブンやAもカブーだけが知り得る世界の答えを求めた。
「教えてくれ、カブー!」
「今こそ、貴方の英知が必要なのです」
近頃、ププビレッジを脅かしている怪物の正体は何か。
その主──原因となっているのは誰なのか。
カブーはこの場から動けない身でありながらも、あらゆる謎を知り得る存在だ。
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
