story.14 ページ15
顔を合わせた瞬間から僅かに漂う安堵感は、騎士二人とパンサーが互いを信頼している証でもある。
Aも戻って来たパンサーの毛並みを撫でつつ、彼の鼻が確かめた事を問う。
「何かわかりましたか?」
「……いつもの羊の匂いの中に、ヤな臭いが混ざってる。かなり強く残ってるから、こいつ等が食われてからそう時間は経ってなさそうだ」
この獣の言うところ“ヤな臭い”とは、明らかに犯人の事を示していた。
どうも、彼にだけは容易に嗅ぎ分けられる魔獣のニオイは、己の鼻を突くような嫌なものでしかないらしい。
だがこれでパンサーと調査を続ければ臭いを辿れ、犯人を特定するのも難しくない。
「……あの小屋がクサいな」
羊達が被害に遭ってからまだ間もなくという事は、魔獣はこの近くに潜んでいる可能性もある──ブレイドが近くに建つ小屋を睨む。
しかしそこはつい先程、Aがブン達を隠れさせた場所である。
今までにブン達の叫び声などは聞こえていないから、安全な所なのは間違いない。
「ソードさん、ブレイドさん。思うに、今ここに魔獣は居ません」
二人の意識がそちらを向いたのを察し、咄嗟に彼等を踏み止まらせるA。
この星の住民でないカービィが、やって来て間もなく魔獣と疑われては可哀想だ。
そう思っての行動だったのだが、どうやらその懸念は杞憂だったようで。
彼女の言葉を聞いたソードとブレイドは少しの間Aを見つめ、それから互いの顔を見合わせると、何かを決意した様子で頷き合い、再び彼女に目を向けた。
「A様、我々は御主人の名で──」
「カービィという者を探して居ます」
「…………!」
──魔獣を探し出すのはもちろんだが、本題はそちらにあるという事だ。
そして、騎士の二人にとって心から慕う主の姿を思い浮かべたAは息を呑む。
確かに彼なら、カービィが真に星の戦士であるかどうかすぐに見分けがつく。
ソード達がやって来た方向から再び静かな金属音がして顔を動かせば、十数歩先で止まった、Aが思い浮かべた通りの存在が此方に視線を注いでいた。
宵闇の夜の中では、意識を逸らせばすぐ見失ってしまいそうな紺のマントに身を包み、一方で、暗がりに光を灯すような──
謂わば、夜空に浮かぶ月さながらの瞳を仮面の下から覗かせ、他の誰よりも圧倒的な存在感を思わせる騎士。
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
