story.13 ページ14
しなやかで巨大な豹の体躯でありながら知性を持ち、人語を話すパンサー。
彼とAは互いをパートナーと認識している程に親密な間柄だが、何故二人が知り合ったのか、これだけ仲が良いのか、それは本人達のみぞ知る真実。
パンサーは辺りを見渡して状況を把握すると、僅かに顔をしかめて言った。
「…………また食い荒らされたのか、この羊達……」
「ええ……無いでしょうけれど、何か確たる証拠が見つかれば良いのですが……」
「俺の鼻なら確かさ、ちょっと探ってみるよ」
「お願いします」
話し終わるや否や、自分の許を離れて骨になってしまった羊達に近づく。
そしてAは宵闇でも目立つ毛並みが調査を始めるのを視界の端に収めたまま、見れば見るほどおぞましい光景を眺めていた。
こんな事が今後も続けば、状況は悪化していくばかりなのは目に見えている話。
早急に原因を突き止め、手を打たなくてはならないとわかっているのに、明確な手掛かりも少なくてはどうしようもないのか──そう小さく溜息を吐いた時。
「「──A様!」」
鎧の擦れる金属音を鳴らしながら近づいて来る駆け足につと視線を移すと、剣を携えた二人の騎士の姿が見え、彼等が自分の許までやって来るのを待ってから、落ち着いた動作で向き直り、それぞれが抱く名を口にした。
「ソードさん、ブレイドさん」
「このような時間にお一人では危険です」
「よりにもよってこの場所に居られるとは……。今夜もまた羊が……」
全体的に緑色の鎧を着た方がソードナイト、赤い房付きの兜の方がブレイドナイト。
今でこそ当たり前のように名を呼ぶAだが、実は二人と初めてであった時は、彼等の名前を逆にして呼んでしまったりと中々覚えられなかったなんて裏話がある。
それはさておき、近頃の魔獣が原因と思わしき騒動は二人の耳にも入っていた。
昨晩の村人の騒ぎも知っているのだろう、故に夜間に外出するAの身を案じる。
そこへ付近の探索を終えたパンサーが話を聞き、得意気な表情をして歩み寄った。
「Aはいつだって一人じゃないぜ、俺が居るんだから」
「おお、パンサーか」
「その鼻で調査に協力してくれるのなら心強い」
Aとパンサーの間柄、またパンサー自身の能力は既に周知されている。
誇り高い騎士の二人も、パンサーの姿を見ると強張った声色が僅かに緩んでいた。
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
