story.1 「第1話：出た! ピンクの訪問者」 ◎ ページ2
〜･･〜･･〜･･〜
「なに!? 巨大な怪物が羊を食ったでゲスと?」
「は、はい! 確かに! その怪物はこのお城に──」
「黙れ! そんな怪物がこのデデデ大王様のお城の何処に居ようぞ!!」
夕食時の城の王座の部屋に、村民達と陛下の部下との喧騒が響く。
間違いないと言い張る前者と理解が及ばぬと突っぱねる後者との間では、ほぼ絶対と見られるほど、話が先へ進むような様子はなかった。
そこへ、更に颯爽と次なる人影がコツコツと足音を鳴らしながら入って来る。
「お待ちください、閣下」
始めに口を挟んだのは、“A”と呼ばれる少女。
長いストレートの黒髪を、白いリボンで、後頭部の高い位置に一つ結びをし、純粋な光を湛える黒い瞳と暗めの服装に白い肌が映えるような彼女は、整って落ち着いた顔立ちでありながら、何処か意思の強さを感じさせる表情で言う。
「少しは民の声に耳を傾けて差し上げては如何ですか?」
「そうだ! 偉そうにっ」
「生意気なAにチビのブン、お前等の出る幕ではないわ!」
冷静に話す少女の傍らでは、子供らしく抗議の声を上げる、少女よりも幼い少年──“ブン”の姿。
陛下の部下、閣下の地位を得ている人物である“ドクター･エスカルゴン”は、そんな二人を邪険に追い払わんばかりに鼻を鳴らしてあしらった。
これを受けて、完全に機嫌を損ねたブンが後をついて来た両親を見上げ口を開く。
「父さん! 何とか言ってやれよ!」
「怪物か……多分、陛下の仕業だろう」
「それしかないわねぇ」
「こ、この! 陛下にお仕えする大臣の癖に!」
当たり障りのない返答をしたのが、ブンの父親であり大臣でもあるパーム。
完全な同意を示したのはその妻であるメームだ。
立場としては、大王を名乗る者に従っているのが彼等である筈なのだが──。
「大王様。コイツ等は皆、極刑でゲスなあ?」
「どぅわはははは! まあ待てゾイ」
エスカルゴンが背後を振り返った先で、部屋の入口で騒ぎが起きているにも関わらず呑気に夕食を楽しんでいた大王、“デデデ”が豪快な笑い声を飛ばした。
そして席を立つと、部屋の中に設置してあった水槽の方を指先で示す。
「その怪物とは、コイツの事か?」
「あ、アイツだ!」
「アイツが羊を食べたんだ……!」
水槽の中で生息しているのは、手のひらの上に乗せられるほど小さなサイズのタコ。
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Laven(プロフ) - みしょさん» コメントありがとうございます! 最初に注意喚起をしていますが、当作品はフーム成り代わり小説です。ご感想もありがとうございます。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - あ、とても面白いですよ！ (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
みしょ - フームどこ行ったww (2019年5月14日 7時) (レス) id: eeba923039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Laven | 作成日時：2017年6月15日 9時
