�将�.Sonata Of Moonlit Night ページ14
「……さっきのはここの担任の先生、ですかね…人は見かけによらない、とは良く言いますが、まさか怪奇現象の類が苦手だなんて……ふふ、やっぱり素敵なお人ですね。私の目に間違いはなかった……だから大好きなんですよね。人間さんと、その仲間」
殺せんせーでさえも驚きと恐怖に悶えつつ帰って、本当に誰もいなくなった校舎に、一人の男の声が響く。同時に、音楽室で掃除をしていた手達は、掃除道具を片付け始めた。
「"デウス・エクス・マキナ"…お掃除も大分終わりました。これなら、私らしくいられる。また棄てられたって、私がここにいた事が証明できる。だから…大丈夫。大丈夫ですよ」
教室にあった、四肢のないマネキンが、光に包まれる。光が消える頃には脚が伸びていた。まるで自分に言い聞かせるように言うと、コツコツと音を響かせて、それは音楽室へ向かう。音楽室に入ったそれの元に、手が飛んできた。
「お帰りなさい。ありがとうございます、ここまで綺麗にしてくれて…じゃあ、早速始めましょうか…!」
それは着ている燕尾服の懐から指揮棒を取り出すと、まるでオーケストラの指揮者のようにそれを構えた。遠慮なくそれを振るうと、本来はピアノソナタである、ベートーベンの「月光」が、バイオリンやトロンボーン等、そこにない楽器の音色で厳粛に。それでいて静かに奏でられる。
静かなオーケストラが、一人の指揮者によって展開された。
【月夜の奏鳴曲】
�将�.Silent Symphonic No.16→←�将�.Strange Phenomenon In The Dark Night
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作者名：御鏡 | 作成日時：2019年5月20日 8時
