【オリジナル】アースラルジュ８ (ページ19)

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第３５１話　種解の薬ページ19

シノ「朗報です！！」

あ「一体何の騒ぎ…？」

タミル「我々はついに第一作の開発に成功した！」

あ「はぁ…」

琥珀「なになに！？何の騒ぎ？」

時雨「一体何を騒いでる
ギルドのところまで聞こえてる」

シノ「あぁ、ごめん…
落ち着くね…スーハー…
実はだね…種族を引き離す第一作の完成品ができました！
名を種解(しゅかい)の薬といいます」

あ「ついに完成したんだね」

種解の薬は青色の液体で
これを飲めば、種族を埋め込まれた者達から
種族を引きはがすことができる
引きはがされた種族は体と共に元に戻る
私の時はそうだった
この薬が本当にそういうことになるかどうかは…
研究者であるシノ達にかかっている

シノ「これをさっそく誰かに使ってもらいたいのだけど…
さて…誰が使う？」

時雨「…」

あ「…何か言ったら？」

クロウ「俺はこのままでいいって
それどころかもう無理なんだろ？」

シノ「…申し訳ないけど、君の体を数値化して
確かめてみた…クロウ、君からはもう引きはがせない
中の人はもう手遅れだよ」

あ「…ねぇ、手遅れになった人はどうなるの？」

シノ「…」

あ「？」

呉羽「記述にある通りなんですね
この辺りにある本は全て読みつくしました」

ヤヨイ「いつの間に…」

呉羽「…種族たちが消えた人達のことを話していましたか？」

あ「そりゃ、雪碧の時も風巫女の時も
居なくなった人のことは話していた」

呉羽「それだけですか？
年間に何人いなくなって、そして、何人失敗したと思いますか…？」

あ「それは…３０万人…」

呉羽「ええ、約３０万人ですよ
そんなにいなくなっているのに…
風巫女も、雪碧も…“これまで”いなくなった人のことを話していました？」

あ「…まさか…」

琥珀「何がどういうことなの？うちにはわからないよ…！」

呉羽「消されるんですよ、彼らの記憶から…
引きはがしに失敗した中の人の事は
引きはがせなくなるほど完全に溶け込むと
種族たちからもその人にかかわった人たちからも
すべていなかったことにされるんです…
そう、本には記されていました…」

クロウ「…じゃあ…」

シノ「…そう、記憶は消されて、彼のことを覚えているものはいない
完全に君の一部と化したんだ
そこまでになると私達、研究者でも何もできないんだよ…！
だから！引きはがせなくなる前に！
まだ間に合う時に解放させるんだ！
その人の存在が消されてしまうから！！」