第513話 私と琥珀、私と呉羽の話 ページ40
あ「…あっ、琥珀」
琥珀「…あっ! A! どうしたの?」
あ「いや…その…怪我は…?
毒は平気…?」
琥珀「毒なら抜けた!
体力もしばらくすれば戻るよ
えへへ、心配かけてごめんね!」
あ「…平気なの?
ユーバの事とか…色々」
琥珀「みんな生きてるし上々!
……ナユタもきっと無事だよ…ねっ?」
あ「…無理してるでしょ?
自分はアイドルだからって」
琥珀「…っ…A
私ね…暗いの大っ嫌い!
…知ってるでしょ?
光でいたいんだよ、みんなの心の中の光で
私は白兎! みんなのアイドル!
辛いとか悲しいとか言ってたら
マイナスに考えちゃうでしょ?
明るく行こう! 生きていればいいんだからっ!」
あ「…琥珀は強いなぁ…」
琥珀「…強くないよ
明るく振舞いたいだけ…」
あ「…琥珀、貯めすぎるのってアイドルにも良くないんじゃない?
出したい時は出しなよ?」
琥珀「…うん、ありがとっ!」
分かっていた、琥珀も心の中ではきっと…
でも、何も言わない
彼女はいつだってアイドルだと思っている
誰かの心の中の光になろうしてる
道しるべのように明るい光はきっと
いつまでも照らし続けてくれるはず
あ「…っ…お墓…?」
?「A、どうしました?」
あ「…呉羽…これは…?」
呉羽「ユーバで亡くなった人たちのお墓です
もちろん、希望は捨てず生死が不明な方を除いてですが…
ナユタもこの中にはいませんよ…
それでも…亡くなった方を弔いたいと
皆がこうしてお墓を作り祈っているんです…」
あ「…」
呉羽「……私は、助けられなかった…
誘導をして、出来るだけ多くの人を導いた
だけど、それでも足りなかったんです…」
あ「呉羽もトーマもギリギリまで
誘導をしてくれたって聞いたよ
諦めなかった」
呉羽「…敵は一体、どんな世界を目指しているんでしょうね」
呉羽は祈りをささげていたお墓から立ち上がって
そうつぶやいた
依然として真っ赤に燃えるユーバと
赤い巨人がいまだに見える
手をあちらこちらに振り回しては
時折、何かを掴んで口元にもっていっている…
呉羽「…世界を変える…
彼らのやってるこれは、決して良い世界に導くものなんかじゃない
…自己満足でしょうか…
本気で世界を良くしたいと思ってる人はいるんですかね」
あ「…変えることは…良い事なのかな…」
呉羽「…すべてを変えるだなんて難しいものです
少しずつ変えるのがいいんですよ」
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