第435話 地獄の釜 ページ10
あ「…消えた…」
時雨「…ザクロさん…」
あ「…時雨…今のは誰だったの?
同じラルク族の人?」
時雨「…俺の師匠だった人だ
今のは偽物だったが…今一瞬だけだが
あの人が見えた気がした、笑っていたな…ザクロさん」
あ「…」
閻魔「…レーヴェはこの中だ…」
あ「この中はいったい何なの?」
閻魔「…地獄の釜と言ってな
中は名前の通り、地獄につながっている
この先は地獄の端にたどり着く…
そこに祀られているものがあいつの欲しいものだ」
時雨「力がどうのって言っていたな…
閻魔が追いかけるべきなんじゃないのか?」
閻魔「…私はここに入れないのだ
冥界の王は冥界から離れられない…
だから、私はここで入れずにいる」
あ「その力の正体は何?
あいつがそれを手にしてしまえば世界はまた危ない目に…」
閻魔「……王の器」
時雨「…? なんだそれ、力なのか?」
閻魔「あぁ、王になれる力だ
この私閻魔の力をも超えるほどの強力な力だ
手にしてしまえば冥界だけじゃなく、地獄までもが
あいつの手に落ちる」
王の器…冥界、地獄を統べる力
手にしてしまえば間違いなく、ここは危なくなる…
そうなれば、彼岸族も死神族も…冥界にいるものたちが
きっとひどい目に合う…
そんなこと…私はさせたくない
影響がこっちにまで来るかもしれない
あ「…行くよ、私」
閻魔「!! 正気か!?
地獄の端とはいえ、生身の人間が行くようなところじゃない!
それに戻れる保証もないのだぞ」
あ「誰かが行かないとレーヴェはあのまま
力を手にしてしまう!」
閻魔「…戻ってこれなくなるかもしれないんだぞ?」
あ「…それでも…私は行くよ…!」
時雨「…」
あ「…時雨は、ここで待ってて
地獄から出てきたあの黒い魂を止められる人が必要でしょ?」
時雨「…おう…
気をつけろよ、先に何があるか分からないからな」
あ「そうねー…」
ユティ「私がついていくからには帰れるさ」
あ「付いてきてくれるの?」
ユティ「まぁなー、地獄とやらを見てみたいからだな
それに、あのレーヴェという奴は
きっとあいつらの仲間だ
気に食わないからな、一発でもかましておこうかと」
あ「あはは、了解
じゃ、行ってくる!!」
深く薄黒く赤い釜の中へと落ちていく
どこからか、煮えたぎる音がする
空気も重くなってくる…
息苦しく、温度は暑く感じ始めていた
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