【オリジナル】アースラルジュ１０ (ページ25)

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第４５０話　涙を流す者たちページ25

風が止んだ時、勝負の結末が見えた
二人とも、倒れていた
私は二十に閻魔の所へと促すと
二十は下唇をかみしめて、すまないと言って駆け寄っていった
何とか体を起こして壁にもたれかかった
息をするだけ痛みが来ていたがそれがようやく
息をしても激痛が走ることはなくなっていた

時雨「A！大丈夫か！？」

あ「時雨…んー…呼吸が苦しいかな…
これ以上は戦えないから…」

時雨「あぁ、戦おうとするな
お前は休んでろ…それに…閻魔もレーヴェも倒れてる…
ここから起き上がってくれるなよ…レーヴェ…」

閻魔はゆっくりと目を開けた
目の前の状況が理解できていない閻魔に二十はゆっくりと話す
終わったのですよと話しかけると
小さく息を吐いた閻魔はそうか…とつぶやいた後
兵士たちが見守る中でゆっくりと小さな呼吸を消していった

「っ…！」
「閻魔様…！！」
「ぐっ…！」

十八「閻魔様…行っちまったのか…」

イセン「閻魔様…」

十七「あぁ…閻魔様ぁ…！！」

二十「っ…ぐあぁ…！！」

皆が涙を流す
彼の死に涙を流さない者はいなかった
それは私たちもだった
短い間ではあったが彼には人柄があった
世界を壊すかもしれないと予言された私たちに
ゆっくりと決断すると決めてくださった
彼以外ではきっとあの場で殺されていたかもしれない

あ「…何故…何故、彼が死ななければならないの…！
誰一人、目の前で亡くなるところなんて見たくなかった…！」

時雨「…いい王様だったな…
王一人のためにここまで全員で泣いてくれて
悔しんでくれるんだ…
じじいなんて言って本当に悪かったな…
閻魔様…あなたが決断してくれてよかった」

皆が悲しみくれる中で
イセンはウルの姿がないことを気づいて見渡した
ウルの姿はどこにもなく
倒れていたはずのレーヴェも姿が消えていることにも気づいた

イセン「…ねぇ…レーヴェ…は…？」

あ「っ！」

時雨「なっ…！あいつどこ行った！？
動ける感じにもなかったぞ」

ヤヨイ「白帽子の奴が連れて消えた
一瞬だったし、止めることもできなかったんだ」

あ「…ヤヨイを氷漬けにした子かな
彼も仲間だった…レーヴェも連れてかれた
彼らの目的を聞き出せなかった…」

地獄の釜は厳重に蓋をされた。
もう、死者たちがここから出てくることはない
レーヴェが糧としていた魂たちは
閻魔が命を懸けた一撃により倒れた際にすべて体から抜け出たようで
今頃は持ち主の所へ帰っているだろう