姫と貴人の恋物語

１３　　巫女 ページ14

ＮＯside

楓が森を通り、菖蒲神社に向かった数分後、十二天将の1人が同じ森を通っていた。

美「ここは、静かでいいな。」

その人物は、十二天将『大陰』膳所美玖。この森は静かで、彼女のお気に入りになっていた。

ところが、

桜「美玖様ー！どこに行くのでありますか‼」

同じく十二天将『六合』蹉跎桜も美玖と一緒に居る。


美「全く・・・なんでお前までいるんだ。」


桜「良いではありませんか！私はどこまでも美玖様とご一緒しますぞ‼」


美「・・・うるせえ」

いつもは静かな森だが、彼女がいると騒がしくなる。

桜「それで、どこに行くのですか！？」


美「どこも行かねえよ。わしはこの静かな森が……ん？なんだ？」

途中で美玖が話を止めたのは、この上の方が騒がしかったのだ。

美玖は週に1，2回来ているのでわかるが、いつもはこんなに騒がしくない。



桜「あれは…菖蒲神社ですね。」


美「いつもはこんなに騒がしくないはずだ。」


桜「では行ってみましょう！美玖様‼」

と言って、桜は神社に続く階段を駆け上っていく。

美「おい！待て桜‼」

美玖も桜について行く。

2人が上ると神社には人だかりができていた。

その中に楓がいた。

2人は楓に気付き、楓も2人に気付いた。

楓「美玖様‼桜様‼」

楓が2人に向かって言うと、他の客たちは十二天将がいたのを知り、自然に道を開けた。


桜「楓殿！この神社で何を…？」


美「つーか、その格好は…」

2人が見たのは、巫女服を着た楓だった。


楓「あ、これですか？実は、今日からこの神社の巫女を勤めることになったんです。」


美「巫女？」


楓「はい。霜菖院家当主になりましたので、神社の巫女と神主も仕事の1つになるんです。」


桜「そうなんですか…では、紬殿が巫女をやっていたということは…」


楓「霜菖院紬は私の母です。この神社の巫女でした。

母が亡くなった今は、私が巫女を勤めているんです。ところで、お2人はどうしてここに？」


美「わしはこの森が好きでな。こいつはただついてきただけだ。」


楓「仲が良いのですか？」


桜「私と美玖様は、十二天将一の名コンビなのだ！」


美「凸凹コンビの間違いだ。」


楓「ふふ、仲が良いですね。そうだ！おみくじ引きます？人気になっているんですよ。」


桜「私はやります！美玖様もやりましょう！」


美「…やるから、静かにしろ。」

この日、十二天将2人と少女は楽しい時間を過ごした。

そんな3人を翡翠と琥珀は見守っていた。

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