大嫌いって言わないで５

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皆それぞれにお酒が入り、和やかな雰囲気になってきた頃

お母さんがニコニコとしながら比与太に聞きました。

母｢あ。そういえば比与太君元ヤンだったわよね！｣

比与太｢ブゥーーーーーっ！！｣


お母さんの一言に、飲んでいたビールを吹き出した比与太


そんな比与太に、向かいに座るお父さんは『ハハハ』と笑いながらテーブルを布巾で拭いてあげていました。


比与太｢あっ！すみませんっ！お父さんっ！｣


変な汗をかきながら平謝りの比与太


それを気にすること無く、お母さんは自分の聞きたかったことを比与太に聞きました。


母｢それは高校生時代なの？何がきっかけで更生したの？｣

比与太｢こっこっ！更生ですかぁ！？｣


それは普通の世間話、或いは遠き日を懐かしむ思出話のように聞いてくる母


そして、父は


父｢そうだなぁ。今ではこんなに好青年だもんなぁ！

どこで間違いに気づいたのか興味あるかも｣

母｢でしょぉ？

駆もヤンチャだったもんね〜(笑)｣

兄｢俺の事は放っておいて｣

母｢何でよぉ〜。あれがあったから今の駆なんじゃない。ね！おとうさん！｣

父｢あはは(笑)でもまぁ、男は人生で１度くらいバカやってても良いんじゃないかなぁ？｣

｢お父さんと兄貴はその１度が強烈すぎんのよっ！｣

父｢あはは(笑)強烈って〜あははっ！｣

母｢極めちゃったんだものね(笑)

ホント！しょーもないわ｣

父｢しょーもないって！あはは(笑)｣

兄｢まぁ〜しょーもないかもな｣



『あはは』と笑うAさんの家族を

比与太は変な汗をかきながらひきつった笑いで見ていました。


兄｢コイツも頭だったみたいだから、まぁ俺たちと同じ『しょーもない』仲間なんだろうな｣

比与太｢なっ！！おにいたまっ！！｣

兄｢更生したのって、Aに会ってからだろ？｣

母｢えっ？そうなの？｣

比与太｢なっ！！おにいたまが何を仰っているのか

ぼっ……僕にはさっぱり……あはは……｣


涼しい顔で次々と比与太の事を暴露していくA兄


隣のAさんに助けを求めようと顔を向けると

とても悪そうな顔をして比与太に笑いかけていました。



またしても変な汗を流す比与太


もうこの場所はアウェイ以外の何者でもありません。


父｢比与太くん。｣

比与太｢はっ！はいっ！｣



ドスのきいたお父さんの声にビビる比与太


父｢君は……Aに出逢わなかったら

今頃どんな自分だったろうと、想像したことはあるかね？｣


とても真剣な顔で、父は比与太にそう尋ねました

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