大嫌いって言わないで５

・・・３ ページ32

真面目に真っ直ぐにそう答えた比与太


父母の顔も真剣な表情に変わりました。



父｢そうですか｣

比与太｢はいっ！僕はこの先Aさんを、誰よりも何よりも大事にして生きていきたい。


僕の人生をかけてAさんを幸せにしたいと思っていますっ！｣

母｢あらまぁ……｣



そして比与太は座布団から降り、そこで頭を下げました。



比与太｢ですのでっ！どうかっ！Aさんとの結婚を前提にしたお付き合いを許していただけないでしょうかっ！

お願いしますっ！｣


頭が畳に付いてしまうほどに頭を下げた比与太


それを見てAさんのお父さんとお母さんは顔を見合わせて微笑みました。


父｢……Aを、宜しく頼みます。｣

比与太｢っ！？｣


お父さんの一言に、泣きそうになりながら頭を上げた比与太


母｢至らないところが沢山あると思いますが、こちらこそ

Aを宜しくお願いしますね。比与太くん｣

比与太｢はぁぁっ……｣


お母さんの言葉にも感動を隠すことが出来ずに、涙が溢れ出す比与太


そんな比与太の頬を微笑みながらハンカチで拭くAさん


｢泣かないのー！もうっ！｣

比与太｢だぁ〜ってぇ〜……(泣)ｸﾞｽﾝ｣




めでたく結婚を前提にしたお付き合いのお許しをもらった比与太


場所をダイニングに移動して食事の時間が始まりました。



兄｢ナユカも呼べば良かったな｣

母｢駆っ！あんたこそナユカさんと結婚はぁ？｣

｢そーだよ！兄貴！長く待たせ過ぎじゃない？｣



わいわいとテーブルを囲むAさん達


比与太はお父さんの向かいでビールをちょこちょこお酌しています。


比与太｢おとうさんっ！どうぞっ！｣

父｢おおっ！サンキュー｣

比与太｢お酒お好きなんですね｣

父｢まぁな(笑)でも母さんに怒られちゃうからあんまり飲まないけど｣

比与太｢あはは(笑)｣



天下の元ヤンも、愛する奥さんには敵わないんだな……と

兄・駆や自分の未来を想像しながら幸せな気分になる比与太


母｢ねぇねぇ？比与太くんは、弟さんと似てるの〜？｣

比与太｢周りからはあんまり似てるって言われないです。

弟は僕と違って真面目で頭が良いので。｣

母｢あら、そうなの？｣

｢弟さん、いい人よ？ルミさんに似て格好いいし｣

比与太｢……ｯﾑ。｣



弟を誉めるAさんにイイ気はしない比与太


それを見つけた向かいに座る父は、自分の若い頃を見ているようで

ちょっとだけ胸がほっこりとあたたかくなりました。

・・・４→←・・・２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す