守るもの (ページ2)

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EP2 ページ2

部屋に戻り、書物を手に取り考える…

私の運命は、ヨナが産まれた時に決まった

イ「この子は緋龍王の生まれ変わりだ！これでこの国も安泰だ！！」

赤い髪をした小さな妹。
その子の指に手を伸ばすと懸命に握り返してくる姿に、私はこの子を守るために産まれてきたのだ、と幼いながら思ったことを覚えている。

私はいずれ、この高華国の将軍となり、王となるヨナを支えていく

長子でありながら王とはならず、また女でありながら将軍になるということは決して楽ではないことも理解しているが、自分の男まさりな性格的にも、これでよかったのだと思い毎日励んでいる。

今日まで武術、勉学、教養、外交…様々なことに対し手抜きせず、真摯に取り組んできたつもりだ。

しかし学べば学ぶほど、今の国の形でいいのか？と父上の政には疑問が浮かんでくる。

そう思わざるを得ない程、今の高華は脆すぎる。
このままでは、周辺の国々に侵略されてしまうという最悪の未来も十分にありえる。
国を支えるべき五部族も全くまとまっていない。

父上に進言したところで

イ「私はつなぎだ。次に続く真の王への…A、ヨナをしっかり守るんだよ、ヨナは緋龍王の生まれ変わりだ。ヨナさえいれば、高華の未来は明るいのだから」

と、この有様だ。

---緋龍王

信心深い父上から何度も聞かされた高華国の建国神話に出てくる初代王

燃えるような赤い髪で天界と龍に愛された者

イ「神は私達の願いを聞き届けてくださる。この国は龍神様に守られているから大丈夫だよ」

本当にそうか？

ならなぜ民は苦しんでいる
なぜ民は怯えながら暮らさねばならない

"神様がついている"
"ヨナを守ればこの国は安泰"
何度も聞いてきた

今この国に必要なのは、神ではなく人々の力だ
部族をまとめあげ、強い国にすることこそ、ヨナを含めた大切な人たちを助けることができる道なのではないのか？

そう考えることすら要らぬ世話だというのだろうか

ただの人間である私の存在意義はなんだ
変えのきく駒…？

ス「A？」

『…！スウォンか。なんだ？もう終わったのか？』

ス「何度呼びかけても返事がなかったので、何かあったのかと勝手に入ってしまいました。…そんな難しい顔をして、どうしたんです？」

『いや、なんでもない。少し考えごとをしていただけだ』

ス「……そうですか。では、ムンドク師匠のところへ参りましょう！」

『あぁ』