拳５ ページ3
Gray Side
「A、電話、出るで」
その辺に投げとったケータイを拾って、
勝手に通話ボタンを押す信ちゃん。
「はい、おー、……開けるわ」
背中に回しとった腕を解いて、玄関へ向かう。
その背中をぼーっと見つめてた。
「……A」
「おかえりい」
習慣とは恐ろしいもので、自分でもびっくりするくらいいつも通りの声が出た。
「うん、ただいま」
いつも通りに返事してくれるヨコさんと違って、
黙って真っ直ぐ私に向かって歩いてくるすばさん。
「……くるしいよ、」
何も言わずに、思いっきり顔を自分の胸に当てるように強く抱きしめてくるすばさん。
「くる、しい」
抱きしめられて、息ができなくての言葉なのに。
一度くるしいって言うたら、また涙が溢れた。
「……、くやしい」
「ん、うん、」
言葉にすれば、ちゃんと返事してくれて。
……みんな私より泣かんといてよ、
私たちの頭を撫でながら泣く信ちゃんに、
台本持って背を向けて肩を震わせるヨコさんに。
同じように悲しんでくれる三人が誇らしくて、申し訳なくて。
堰を切ったように声を上げて泣けば、より一層強く抱きしめられた。
やっと、一緒に仕事ができると思ったのに。
浮かれてた。だから、罰が当たったんやな。
「……A、消毒液どこ？」
ヨコさんの声で、すばさんが手を離す。
そこの棚。って伝えれば、絆創膏とセットで持ってきた。
「誰か怪我したん、」
「お前や。……付け爪、血だらけやで」
ぱ、と掌を見ればまた無意識に握っとったみたいで
血が出てる。付け爪付けてんの忘れてた。
「沁みたらごめん」
「は、
いいったああああ！！！？？？？」
ぶちゅ、っとそのまま直に消毒液ぶっかけるから
めっちゃ沁みて思わず叫んだ。
「ちょ！アホちゃう！？そのままぶっかけたら沁みるに決まってるやん！！！」
「だって、どうすんねんこれ！」
「ティッシュとかワンクッション挟むねん！！」
「もー！ワガママ言うな！」
「そこティッシュあるやん！ワガママちゃうわ！！」
いつの間にか普段通りの空気になってて、
三人ともケラケラ笑ってる。
みんな目え真っ赤やし鼻すすってるけど。
「あ、ヨコ絆創膏貼るなよ、風呂入らなあかんねんから」
「すばるもう遅いわ、ヨコもう貼っとる」
「あ、ほんなら剥がしとくわ」
「いいいってえええええ！！！」
無理矢理剥がされて、また叫んだ。
この家防音で良かった……。
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れい(プロフ) - ちょぴさん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年10月7日 16時) (
レス) id: 683c6de2e2 (このIDを非表示/違反報告)
ちょぴ(プロフ) - れいさん» ありがとうございます(^o^)これからもたのしみにしてます(^.^) (2017年10月7日 14時) (レス) id: 1aa51b4331 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ちょぴさん» コメントありがとうございます！大変失礼いたしました、変換されるように直しましたので、引き続きお楽しみください（ ; ; ）ご指摘ありがとうございました！！ (2017年10月7日 10時) (レス) id: 3425541c8a (このIDを非表示/違反報告)
ちょぴ(プロフ) - 途中から名前の変換が出来ないです。・°°・(＞_＜)・°°・。 (2017年10月7日 7時) (レス) id: 1aa51b4331 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ハチミツレモンさん» そう言って頂けて嬉しいです(*^^*)思いつきだけで書いているので私もどうなるか分かりませんが、これからも見守っていただけると嬉しいです！ありがとうございました♪ (2017年9月30日 19時) (レス) id: 683c6de2e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れい | 作成日時：2017年9月23日 16時
