ウェザーリポート (ページ34)

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お互いが起きたことを確認して通話を切る。
鞄に入れた昨日買ったプレゼント。
一日遅れだけれど、高級ブランドでもなんでもないけれど、横山くんは受け取って使ってくれるだろうか。

「おは、よ」
「ああうん、おはよ……」

別にやましいことは何もしていなかったのに、お互いぎこちなく目をそらす。
もう5月だというのに今日は冬のような寒さで身を震わせた。

「横山くん」
「ん？」

ああこの首を傾げる角度。なあに、と言いたげな優しい返答。いつの間にか私は横山くんそのものにどっぷりと浸かってしまった。

「誕生日、おめでとう」
「え、まじで？開けてええ？」

目をキラキラと輝かせて私の返事も聞かずにプレゼントの包装を脱がしていく。気に入ってくれるといいけど。

「お、めっちゃ助かる(笑)」

渡したのは部活でも使えるようなフェイスタオルとリストバンド。
それともうひとつ、バスケットボールのキーホルダー。

「ありがとう」

冬のような寒さだった教室も、彼が笑えば小春日和に感じられた。

「あ、あと」
「おーなんや」
「私もプレゼント♡」
「……お前何言うてるん」

口ではそう言うくせに、満更でもなさそうに見えるのは気のせい？
私を見ずに目を輝かせる横山くんの横顔は私の語彙力を全てかっさらっていった。

ありがとう渋谷くん。君こそがキューピットだ。
いや何も実ってへんけど。

「やっぱさ、私思うねんけど。」

横山裕くんって美しすぎない！？

呆れたように笑う横山くん。うん、今はそれでもいいよ。
顔も心も美しい横山くん、おめでとう。

完。