ウェザーリポート (ページ32)

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「おい山田ァ！なんぼ言うたら分かんねん！」
「いった！」

化学の先生が私に声を荒ららげる。
同時に頭への衝撃。クラスのみんながクスクスと笑った。

「毎日毎日！暇見つけたら横山の顔見よって！」
「あいだだだ！暴力反対！」

頭を鷲掴みにされてそう叫んだ。
ボールちゃうねんで、私の頭やで。

「休み時間に見ろアホ！」
「それだけやと足りひんから授業中も見てんねん！」
「ああ言えば山田か！！」
「ツッコミが訳分からへんねん！」

クスクスだった笑いも徐々に大きくなって、ちらっと横山くんを見れば鬱陶しそうに顔を歪めていた。

「ちゃんとする！ごめんなさい！」
「なんべんも聞いたわ！！」

スパーン！といい音を立てて先生は教卓へ戻っていく。
ごめんね。横山くんに言えば、ふ、と笑った。

「なんべんも聞いた」

毎回こうやって許してくれる。いつか本気で怒られてしまうのではないかとヒヤヒヤしているものの、顔はやっぱり隣を見つめてしまう。

放課後。
薄っぺらい形だけのスクールバッグを持って渋谷くんがやってきた。
教材やらを入れて重たくなった私の鞄とは大違いだ。

「んじゃ、ヨコ！こいつ借りてくわ！」
「借りられてくるわ！」
「はいはい、また明日」

渋谷くんと二人並んで歩く。
着いたのは某ショッピングモールで。

「何買うん？」
「ヨコの誕プレ」

え、足と共に思考も止まる。
私は横山くんの誕生日すら知らなかったのだ。

「今日やで、誕生日」
「どうしよ……」
「やから買いもん来てんねん」

プレゼント選び手伝ったる。渋谷くんは優しく笑った。

数々のお店を回って、あれでもないこれでもない言い合って。
手伝うと言ってくれた割には結構序盤で飽きてしまったらしい渋谷くんは、首にリボン巻いとけば？なんて言い放った。