ピエロガール (ページ13)

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淡々と進められていく進行に、
私は何もせずにただ耳を傾けた。

『僕ねー、何ヶ月前かなあ。人助けしたんすよ』

夢と同じ言葉を紡いだ大倉くんの声に目を開く。
正夢になってくれへんかな、なんてしょうもない期待して。

あーあ、なんか、夢のせいですっごく虚しい。

別の話題へ移ったところで布団にちゃんと潜ってラジオを子守唄に寝れるように目を閉じた。

『大倉さんケータイ壊してましたよね、そういえば』

『そう、そやねん！データも全部消えてもて。珍しく留守電入ってて聞こう思ったらそのままツルッと……はああ』

あ、これも夢と同じ。なら、この後は、

『やから聞けてへんねん、留守電。』

……あ、れ？なんかトーンが違う。

『内容伝わってないんでね。このラジオが届いてることを祈って、かけ直してきてくれると嬉しいです』

我を忘れるとはこのことか。
夢と全部一緒では無いけれど、ニュアンスは同じの内容は私の思考を止めさせる。

おやすみなさい、その声を聞いた瞬間画面に表示されたままの番号をタップ。
たった数回のコール音が長く感じるほど私は緊張しているようだ。

『うそつき』

「ご、めんなさい」

『俺ね、鼻を触るクセがあんのよ。その度に香るAちゃんの香水か何かがすごく好きみたい。』

「え？」

『やからさあ、Aちゃん。今から会ってもう一回、俺と手え繋ぎ直そう？』

夢とは違うその言葉。
それでもきっと、結末は。

完。