打ち合わせ２ ページ3
Black Side
「あん時マーメイドの曲名すら知らんかった子も、今では当然のように言えんねん。
レコメンで言うてたのを聞いたからって子もおるやろうし、もっと言うたら自分より長く応援してくれとる人に教えてもらったんかもしれん。
最初の方のDVDを買って見直してくれたんかもしれん」
新しくファンになってくれた子は、いまいち楽しめへんかもしらんけど……
ここまで言うて、最後に自信失くすか普通(笑)
でもそれのおかげで、張り詰めた空気が少し柔らかくなった。
「うん、ええんちゃう？全曲カップリングはさすがに難しいかもしらんけど、要所要所で歌っていこうや」
「意外と人気なのってなんやろ？」
「それこそエゴサーチ丸山やろ」
打ち合わせをして約二時間。
コンセプトと曲がまとまってきた。
とりあえず今日はここで終了ってなった時、
どっくんと大倉が俺に寄ってきた。
「なあなあ横山くん」
「なに、どないしたん？」
「Aってさあ、」
「すばるくんのこと呼び捨てやったん？」
その声を聞いたヤスとマルもこっちに来る。
え、と思ってAのほうを見ると、めっちゃ首を横に振っとった。
あかんってことやんな？言うたらあかんねんな？
「……え、どうやったっけ。誰が言うてたん？」
「「すばるくん！」」
えええ、本人が言うてたんかよ……
すばるはすばるで分からんって顔したまま首振っとるし。
「んん、覚えてへんわあ……」
「なんやそっかー」
「村上くんなら覚えてるんちゃう？」
あ、やべ。Aの顔が一気に青ざめていくのが分かった。
おいヒナ、いらんこと言うなよ……！！
「村上くん分かるう？」
「え、あいつ呼び捨てやったん？」
「え、村上くんもそこからなん？」
もうええわあ言うて次の仕事の為に部屋を出る三人。
マルは俺の横に来てボソッと
「僕覚えてんねんけど……言わんほうがえんやな？」
「たぶんその方がAは助かるみたいやで」
ほっと一息したAの頭をガシガシ撫でるヒナ。
……あいつ覚えてんのにあんな平然と嘘つけたんか。
上手になったもんやわほんま。
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作者名：れい | 作成日時：2017年8月25日 1時
