#08 ページ9
「ただいま〜」
「照兄！おかえり〜」
「あ、ふっか早かったね」
「照、お邪魔してます」
「ちょっと、他人行儀すぎ」
康二と一緒に料理を作っていたとき、
丁度照が帰ってきた。
その手には買い物袋と大きめの袋。
「そのでっかい袋ん中って、」
「あぁ、これ？服。
試作品がデザイナーさんから届いたから、
検討してみて、って」
「へ〜。」
いただきまーす！
照と康二と俺の3人の声が部屋に響く。
久しぶりに、誰かとご飯を食べる。
…あ、昨日もそういや食べたっけ…
「…ふふっ」
「ふっかさん、なんで笑ってるん！？
なんか面白いことでもあったん？」
「…ううん、なんか、あったかいなって」
「…ふっか」
「俺、照と康二に出会えてよかった」
ふっかさん…と泣き真似をする康二。
改めて康二と照に視線を移してみると、
やっぱり不思議な安心感があった。
「俺さ…ここに住みたい
家事とか、あんまり出来ないかもしれないし、
料理も洗濯もからっきしだし、
でも、照と康二に貰った温かさを
なんだか離したくなくて…
…俺、我儘だよね、ごめん」
「…本当に？」
「あ、えっと、照と康二が迷惑なら、
全然今の忘れちゃって良いんだけど…」
「ううん、嬉しい。
ふっかがそうやって言ってくれたのが嬉しくて」
「…本当に、いいの？」
「勿論やて！
ま、それなりに家事とか手伝ってほしいけどな」
「うん、了解」
「じゃあ決まりやな！」
康二の明るい声が響く。
照の眩しい笑顔。
二人の拍手の音。
俺、今幸せなんだ。
．
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作者名：朱黒 | 作成日時：2021年6月24日 22時
