#07 ページ8
“ Iwamoto ” と書かれた表札。
あの後はバイト先のスーパーへ行って、
流石に2日もお世話になってるんだから…と
照と康二くんに
オレンジとゴールドキウイのゼリーを買って、
…ついでに俺も食べたくなったから
葡萄のゼリーもカゴに入れて。
「は〜い！あ、ふっかさん！！
来てくれたん？嬉しいわぁ」
「う、うん…で、これお土産に…
こういうの苦手だったらごめんね」
「めっちゃ美味しそうやん！！
ふっかさん、コップンクラ〜ップ」
「え、最後の何それ」
「言うてなかったっけ？
俺な、タイの血入ってんねや」
「タイ！？」
「皆そこで驚くんよなぁ〜
関西も外国も入ってんねな！？って」
「た、確かに…」
「まぁまぁ、入ってや
まだ照にぃ帰ってきてへんからさ」
「あ、何かごめんね…」
「なんでふっかさんが謝んねん！」
…彼が思ったよりも
マシンガントークをする人だった。
でも、なんだか優しいし、暖かいし…
温もり。
照みたいな温もりを持ってる、康二くんは。
「普段、ふっかさんは
どういう仕事してるん？」
家に上がって、
リビングのソファで一休みしているとき。
ふと隣にいた康二くんがそう尋ねてきた。
「モデルやりながら、バイト色々やってる」
「モデルさんなん？！
確かに、ふっかさんたまに超格好ええもんな」
「たまにって何だよ」
あはは、と笑う康二くん。
「そう言う康二くんは
なんの仕事やってるの？」
「俺？俺はカメラマン。
照にぃの作った服とか、
モデルさんとかに着てもらって撮るんよ
てか、康二とかそんなんでええよ？」
「あー、おけ
確かに、なんか康二…らしい」
「せやろ？！俺も天職やと思てんねん」
康二くん…
確実に俺よりも歳下の筈なのに、
なんだか表情も心も柔らかくて広い。気がする。
．
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作者名：朱黒 | 作成日時：2021年6月24日 22時
