#05 ページ6
「実はさ、俺
こうやって自分と同じ境遇の人と
喜びも悲しみも噛み締めあえたらなって
ずっと思っててさ。
それに…___ふっかとなら、
何でもできる気がする。
何でも、乗り越えられる気がする」
急でごめんね、
今の忘れてくれて良いから、と言う照。
「…照、」
そう微かな声で呼び止めると、
ん？とこちらを向く照。
「…考えてみる。
だから、住むのは、
照ともっと仲良くなってからにしたい」
一生懸命に俺の話を聞いて、
俺を肯定してくれた照が、
俺を騙そうとしてるはずがない。
「…ありがとう、…俺を信じてくれて…
ごめんな、俺めちゃくちゃ怪しい奴じゃん」
「ううん、…いや、
知らない人が死のうとしてるの止めてる時点で
大分怪しいけど」
「…確かにそうだわ」
照には不思議な力がある。
能力とか、そういう類じゃない。
人を幸せにする為に、自然に溢れてくる力。
そんなことを考えていたときだった。
「ただいまー！
照にぃ〜今帰ってきたでー！」
玄関の方から、
関西弁の男の声が聞こえてくる。
「あー…ふっかには言ってなかったかも
今帰ってきたのが康二」
「も〜照にぃ聞いてやぁ？
閉店間際にお客さん来ててん…って、あ」
「…なんかすみません、僕帰りますね」
「あ、全然そんなんじゃなくってですね！！
あの、僕こそなんか失礼しました！！」
「お互い譲りすぎだろ…、
こっちがふっか。
駅で会って一緒に家まで来たって感じ」
「ふっかさん、よろしくお願いします〜
俺は向井康二。照くんのいとこです」
「あ、えっと…深澤辰哉です。
敬語無しで大丈夫です
向井くんも、もしかして…？」
「んもぉ〜康二って呼んでや！
それかこじきゅんやな？まぁええわ…」
「うん、康二も能力持ってる
俺もまだ、何の能力かよく分かってないけど…」
「…まぁ、二人とも追々教えるわ、
取り敢えず！ふっかさん、よろしくな〜」
「…う、うん
康二くん、よろしくね」
こうして、よく分からないまま1日が終わった。
結局その後は部屋の一室を貸してもらって、
照の家に泊まって帰った。
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作者名：朱黒 | 作成日時：2021年6月24日 22時
