Puissance【 sn 】 (ページ25)

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# 02 ページ25

「あ、あの！

すっごくダンス上手くて…俺ら、感動しちゃって

お名前、何と仰るのですか…？」

考えつく限りの敬語で彼に話しかける。

俺らのことをジロジロと睨み付けるように

隅々まで見つめた彼は、どうやら

こちらに強い警戒心を向けているようだ。

「てめぇらだって…

俺には何にも関係ねぇんだろ、」

推測が確信へ形を変える。

彼は＿＿俺らのこと警戒してる。

初対面で、さっき自分が敬語で話しかけた相手は

刺々しい言葉を吐き捨てた。

この人やべー人かも、こわ…

それが正直な俺の気持ち。

てか、“ 俺らには関係無い ” って…

初対面だからそりゃそうだろ！！

なんて、心の中でひとり口論してたその時。

彼が地面に転がっていた大きめの石を拾った。

へ？

もしかして、それ投げるつもり？

少し後退りして彼の目を見つめる。

一瞬舘さんの方を振り返ると

俺と同じ姿勢を取っていた。

彼が握りしめた石は、

＿＿鋭いナイフへと姿を変えた。

「…ひっ」

思わず声が漏れる。

しかし、その瞬間＿＿

「あ、っ…す、すいません！！」

彼はナイフになった石を

全身の力が抜けた様にその場に落とし

その身体もろとも崩れ落ちた。

「え…？」

呆然とただ見つめることしかできない。

「ごめんなさい…ごめんなさい…！！

やっぱり俺…この能力…」

その人はひたすらに俺らに頭を下げてきて、

そして呪文の様に謝罪の言葉を口にしながら

走って何処かへ行ってしまった。

その頬に、涙が光ったような。

そんな気がした。