Puissance【 sn 】 (ページ20)

今日:2 hit、昨日:15 hit、合計:83,044 hit

# 08 ページ20

「なに？話って」

引っ越しの片付けが終わった後、

“ ちょっと俺の部屋来て ” と俺を呼び出した翔太。

「俺ね、舘さんの笑顔が見たいの」

「そりゃまた…どして？」

「あいつ、いじめられてたって話はしたよな

それで、高校上がって暫くしたときに

殴られそうになった舘さんを俺が庇ったら

俺もいじめられるようになってさ？

それで舘さんは俺のせいで、って

塞ぎ込んで笑えなくなったって訳。

あ、因みに庇った時に治癒能力が身に付いてさ。

そんな感じ。

だから、舘さんには笑ってほしい

今まで辛かった分、幸せにしてやりたい」

翔太の中に、確(しっか)りとした気持ちが

秘められていたなんて、と驚くような。

その気持ちがただひた向きに

親友を守っているんだなぁ、と感じた。

「…分かった、

俺も宮舘さんには笑っててほしいから」

「…ありがと、ふっか」

.

「舘さん料理上手ない！？

めっちゃ美味しそうやねんけど」

「…あ、うん…ありがとう」

少しだけ、宮舘さんの口元が綻ぶ。

それでも目元はピクリとも動かない。

宮舘さんの翔太への想い、

翔太の宮舘さんへの想い。

きっと、お互い負けないくらい強いんだろうな。

だからこそ、両方が責任を背負って、

想いが伝わっているようで、伝わってない。

＿ピースがひとつだけ足りないところに、

無理矢理違うピースをはめたパズルのように。