素直【爆豪勝己】 (ページ8)

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バイト先までの帰り道は徒歩。

来る時も通った、横断歩道を渡りきろうとした時。

前からきた歩きスマホをしてる男の人と、私の横を走って渡った男の子とがぶつかった。

男の子はベビーカーを押すお母さんを少し後ろから追いかけていたようで、手に持っていた人形をぶつかった拍子に落としてしまった。

歩きスマホの男はなにもなかったかのようにそのまま行ってしまう。

人形は男の人の足にあたり、横断歩道の真ん中まで転がる。

「あ、待って！」

男の子が人形を拾いに、来た道を戻っていく。

信号が青に変わる。
止まっていた車が走り出し、少し向こうからトラックが迫ってきた。

トラックの運転手は男の子に気づいていない。

『危ない！！』

男の子を追いかける。

横断歩道の真ん中あたり、人形を抱き上げた男の子を庇うように、抱きしめる。

トラックの運転手がこちらに気づき慌てて、急ブレーキをかけた。

今からじゃ立ち上がっても間に合わない！

男の子だけでも助けなきゃ！

突き飛ばしても歩道には届かない！

だれか！

キキィーーー！！！

もうだめ！

せめて私が衝撃を和らげるぐらいなら！男の子を強く抱きしめ痛みを覚悟した。