素直【爆豪勝己】 (ページ13)

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『なんでここにおるんですかっ！』

「コーヒー飲みに来たんだよ。わりいかよ。」

『…ストーカーかと思いました。なんですかそのキャップとサングラス。』

「非番の日は目立つと後々が面倒だからこうしてんたよ。いちいち騒ぐな。」

迷惑そうにそう言って、またキャップを深く被り直す。

有名ブランドのキャップと黒いサングラスは不審者にこそ見えるが、彼のスタイルの良さなのか顔立ちの良さなのか雰囲気はイケメンだ。
テーブルの下で組んでいる足も、ダメージの入った黒いデニムパンツもモデルのように着こなしている。

『…なんかかっこよくて腹立つ。』

「あ？」

『ごゆっくりどうぞー。』

彼の席を離れてカウンターの奥に戻ろうとしたとき、

カランカラン、

カウンター席の男性のお客様がスプーンを落とした。

『あ、大丈夫ですよ！すぐ新しいのお持ちしますね！』

お客様が拾うより先に拾い、新しいものを用意して、お渡しする。

「ありがとう。」

そのお客様は受け取る時に、私の手をスプーンごと握った。

！？

ちょっとびっくりしたが振り払うわけにはいかないので、我慢した。

偶然だよね？自意識過剰はよくないし、お客様にも失礼だし！

お客さんにお辞儀をして、その場から離れた。

その様子を見ていた爆豪はチッと舌打ちをした。